2021 Fiscal Year Annual Research Report
誰が石油分解を“先導”するのか?:BONCAT法を用いた石油分解の鍵微生物の探索
Project/Area Number |
19K15738
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
守 次朗 横浜市立大学, 理学部, 助教 (10835143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタゲノミクス / 石油分解微生物 / 土壌微生物群集 |
Outline of Annual Research Achievements |
優れた石油分解能を持つ、本研究チームが保有する独自の土壌細菌コンソーシアムにおいては、各種芳香族化合物を分解するSphingobium属と、アルカンを分解するPseudomonas属の2属が石油分解を「先導」するパイオニア微生物として増殖していたことを前年度までに明らかにした。そこで本年度は、これらのパイオニア微生物、およびそれに共存する主要な細菌属の単離株を用いて、ゲノム解析および培養試験によりそれらの代謝能力の詳しい調査を行なった。 芳香族分解パイオニア微生物であるSphingobium属(KK22株)については、5つの芳香族環から成り、極めて強い毒性・発癌性を持つベンゾピレンを部分的に分解できることを明らかにした(Izawa et al., Journal of Hazardous Materials Advances, 2021)。 アルカン分解パイオニア微生物であるPseudomonas属(KK6株)については、アルキル芳香族化合物のアルキル鎖部分を生分解する能力を持つことを明らかにした(Tomiyama et al., Journal of Petroleum Science and Engineering, 2021)。 さらに、コンソーシアムの主要細菌の一つであり、含窒素芳香族分解能を持つCupriavidus属細菌(KK10株)について、その完全ゲノムを解読した(Mori et al., Microbiology Resource Announcements, 2021)。このゲノムについて、既知の近縁株のゲノムとの比較ゲノミクス解析を行なったところ、KK10株はかつての主要染色体と二次染色体が融合した特殊な巨大染色体を有していたことが明らかとなった(Mori and Kanaly, Microbiology Spectrum, 2022)。
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Research Products
(5 results)