2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K15742
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小堀 峻吾 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (20792691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 微小液滴 / 微生物 / 共培養 / 共生 / W/Oエマルション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境中の細菌群中にある共培養の最小ユニットを高効率に検出するシステムの構築を目的とした。マイクロ流路と呼ばれる微細加工されたデバイスと、次世代シーケンサによるアンプリコンシーケンスを組み合わせることで、共培養系を高効率かつ網羅的にスクリーニングする系を確立する。 系の確立のために、まずは菌の区画化を試験した。共培養の最小ユニットを知るためには、最低限の菌の組み合わせを1つの区画に封入する必要がある。まず、土壌から細菌群を抽出し、液中に含まれる菌数を血球計算盤を用いて測定した。液滴の径およびポアソン分布から、1つの液滴区画に1つもしくは2つの細菌が入るよう最適な細菌濃度を計算し、抽出液を希釈した。この希釈液を内液として使用しW/Oエマルションを作成した。液滴内の菌数を測定したところ、計算値であるポアソン分布と近い分布が得られた。 微小な液滴内で共生的に細菌が増殖するには、栄養素やシグナルなど何かしらの物質の交換が必要である。そのため、液滴内で栄養の交換が成されているかを確認するために、人工的な共生関係を構築した。大腸菌ゲノム中のアミノ酸合成遺伝子を一部欠損させ、外部からのアミノ酸の供給がないと増殖できない株を、それぞれアミノ酸を補完する形で2種類(AまたはB)用いた。すなわち同じ区画内にAおよびB株がそれぞれ存在し、アミノ酸の交換が成されている場合にのみ、それぞれの株が増殖できることになる。実際にAおよびB株の大腸菌液を混ぜ合わせ、最適な濃度に培養液で希釈し区画化したところ、AB両方が存在する液滴で菌の増殖が確認できた。このことから、微小な液滴内でも栄養素の交換が成されていることがわかった。以上の研究により、微小液滴内で共培養を行う実験の基礎条件を確立することができた。
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