2019 Fiscal Year Research-status Report
減数分裂の開始・進行におけるCDK/TOR pathwayの役割
Project/Area Number |
19K15751
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松田 真弥 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 講師(研究機関研究員) (40805488)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | CDK5 / Pef1 / TORC1 / オートファジー / 減数分裂 / 分裂酵母 / cyclin |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂は遺伝子を次世代に継承するための重要な細胞分裂プロセスであるが、生殖細胞形成時のみに現れる特殊な分裂であるため解析が難しい現象のひとつである。それに対して、分裂酵母では栄養飢餓にすることで減数分裂を人為的に誘発することができる。この性質を利用して、研究代表者は減数分裂の開始・進行に関わる新たな制御系としてPef1 (哺乳類CDK5)/TORC1シグナル伝達経路を見出した。しかしながら、Pef1とTORC1間のシグナル伝達経路を解明する手掛かりは未だ掴めていない。そこで本研究では減数分裂期におけるPef1/TORC1シグナル伝達機構を解明し、減数分裂の制御系を明らかにすることを目的とした。 本年度は①減数分裂期におけるPef1の活性制御機構、②Pef1 とTORC1間のシグナル伝達機構について解析を行った。これまでにPef1は3つのサイクリン(Clg1、Pas1、Psl1)と結合することが報告されているが、これら3つのサイクリンが減数分裂制御においてどのような役割を担うかは分かっていない。そこでclg1、pas1、psl1欠損による減数分裂進行やTORC1活性への影響を調べた。その結果、pat1-114温度感受性変異体を用いた減数分裂誘導系において、野生株と比べるとclg1欠損株、psl1欠損株では減数分裂の進行に遅延が生じ、TORC1活性も半減していた。一方で、pas1欠損株では減数分裂の開始・進行、及びTORC1活性に対する影響はほとんどなかった。また、clg1 psl1二重欠損変異株では減数分裂が開始されず、TORC1活性はpef1欠損株と同程度まで抑制されていた。 これらの結果から、減数分裂期においてClg1とPsl1がPef1の活性調節因子として機能し、減数分裂期のTORC1活性を制御することが予想される。加えて、Pef1がいくつかのDNA複製因子の発現制御にも関わることを新たに見出し、それらの因子がTORC1制御にどのような関わりがあるのか現在解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は減数分裂期におけるPef1の活性制御機構を重点的に解析し、遺伝学及び生化学的解析によりPef1の上流因子を新たに同定することができた。またPef1とTORC1間のシグナル伝達経路についても有益な情報を取得し、当初の予定通りに研究計画を進めることができた。そのため、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た情報を基にPef1の下流シグナル伝達経路の解析を進めていく。特にPef1と減数分裂前DNA複製の関係性ついて遺伝学・生化学的な手法を用いて詳細な解析を行い、Pef1とTORC1間のシグナル伝達経路を明らかにする。また、天然物などを用いてPef1活性制御剤のスクリーニングにも取り組みたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
Pef1の基質候補を同定することができれば、in vitroキナーゼアッセイを用いて基質候補のリン酸化を検証する予定であった。しかしながら基質候補を同定するには至らなかったため、in vitroキナーゼアッセを行うための試薬購入費等を次年度に繰り越すことにした。
|
Research Products
(3 results)