2020 Fiscal Year Research-status Report
シアノバクテリアの糖代謝システム制御および機能性オリゴ糖合成への応用
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19K15754
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
町田 峻太郎 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (40827490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラン藻 / 微細藻類 / 有用物質生産 / ヒトミルクオリゴ糖 / 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は①シアノバクテリアへのプラスミドコンストラクトの導入による遺伝子組換え体の作製、および②ビフィズス菌粗抽出液を用いたラクト-N-ビオースI(LNB)標準品の新規合成法の確立を行った。 実施項目①に関して、昨年度までに作製した、UDP-N-アセチルグルコサミンをN-アセチルグルコサミンへと変換するRhodobacter capsulatus由来のsiaA遺伝子を異種発現させるコンストラクトをシアノバクテリアに導入した。得られた遺伝子組換え候補株の解析を行ったが、siaA遺伝子が導入されている株はなく、N-アセチルグルコサミンを細胞内で蓄積する目的の細胞は得られなかった。この原因として、今回採用した、代謝改変系は細胞毒性を引き起こしている可能性が考えられる。siA遺伝子の発現量調整や、別の代謝経路を利用した、N-アセチルグルコサミンの合成系を検討する必要がある。 実施項目②に関して、本実験で、シアノバクテリアに合成させることを目指す、機能性オリゴ糖LNBは、その合成にかかわる4種のビフィズス菌由来の遺伝子組換え酵素を用い、スクロースおよびN-アセチルグルコサミンを出発原料として、in vitroで合成できる。しかしながら、シアノバクテリアで合成させた場合、細胞中の様々な妨害因子による合成阻害が予想される。そこで、シアノバクテリアにおけるLNB生産性を効率的に評価するため、ビフィズス菌の粗抽出液を用いた、より簡便なLNBの調製方法の確立を行った。粗酵素液中に含まれるLNB合成反応妨害因子を除去・抑制することで、256 mMのLNBを合成できるプロトコールの確立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年10月に所属研究機関を異動した。シアノバクテリアの培養や分子生物学的な実験に使用する機器・装置の整備に大きく時間がかかり、当初計画していた遺伝子組換えのためのプラスミドコンストラクトの作製とシアノバクテリアの遺伝子組換え体の作製が遅れている。引き続き環境整備を進め、実験計画の遂行に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
引続き、シアノバクテリアの糖代謝系の改変のためのプラスミドコンストラクトを作製し、順次、シアノバクテリアへの遺伝子組換えを行う。また、目的の遺伝子組換え体を作成するためのメソッドの効率化を図る。そして、糖質関連酵素の活性測定法の確立と合わせ、各糖質の定量法も確立し、遺伝子組換え体の作製後、糖代謝系の改変による生理機能への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
シアノバクテリアの光合成・呼吸活性の評価に使用する温度制御付液相酸素測定器を購入予定だったが、シアノバクテリアの遺伝子組換えの作製に遅れが生じ、光合成機能の解析は次年度以降に行うことになったため、その経費が次年度使用額となった。
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