2020 Fiscal Year Research-status Report
コケ植物のオス株が矮化する矮雄現象を司る生理活性物質の同定
Project/Area Number |
19K15759
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮崎 翔 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (30755955)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天然物化学 / コケ / 矮化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,コケ植物が生産する【矮雄誘導物質】の単離・構造決定と生合成経路の解明を目的としている。 ヤマトミノゴケは植物の中で唯一,矮雄現象が報告されている植物であり,この矮化は遺伝的に固定されたものではなく,メス株からの植物ホルモン様物質によって誘発され ると強く示唆されている。 そこで本研究課題ではその物質の探索するため,まず矮雄をメス株から単離しメス株と通常雄をそれぞれ生育させ,研究室内での矮雄現象の再現の後,メス株の生産する物質の探索を試みることとした。 昨年度から継続して実体顕微鏡による観察から矮雄を数個体単離し,これまで扱ったコケ植物と同様にエタノールや次亜塩素酸等を用いて無菌化を試みた。しかし,生きた状態の株を単離することが困難な傾向が認められ,無菌化の操作を行わずに生育を見たが,それでも生育状況は変わらなかった。このこと自体も重要な知見と思われるが,さらに個体数を確保するために採集に行く予定だったが,緊急事態宣言等で中止せざるえない状況であった。 並行して胞子の採取も行い無菌化,非無菌化条件で発芽状況を見ているが,これまで扱ったコケと異なり発芽やその後の生育状況が良くなかった。専門としている研究者と相談をしながら,進めていきたい。 他方,植物の矮化に関与する新たな生理現象も本研究を進める上で重要な知見となる。異動もありセットアップに時間を要しているが,双方とも進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コケ植物の確保,及び矮雄株及びメス株の単離に想定より時間を要している。また,次世代シークエンサを用いてこれら雌雄株の発現遺伝子を比較し,矮化に関与する因子を絞り込む予定であったが,予定していたサンプル採取と続く次世代シークエンス解析が行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサを用いて雌雄株の発現遺伝子を比較し,矮化に関与する因子を絞り込む。また,無菌化にも引き続き取り組み,野外から胞子を入手しそれらを発芽させていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため,予定していた実験ができなかったこと,及び発表予定していた学会がなくなった為。次年度も旅費の執行額は減ることが想定されるため,網羅的発現解析に利用するなどして研究を進めていく予定である。
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