2021 Fiscal Year Research-status Report
酸化ステロール蓄積に起因する肥満性炎症誘発の分子機構解明と食品成分による予防
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19K15764
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡邉 雄一 昭和大学, 薬学部, 助教 (70792729)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸化ステロール / NASH / 代謝酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
食習慣の欧米化による肥満に起因する糖尿病や動脈硬化などの循環器疾患、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)などの生活習慣病の罹患者増加は医療費増大に直結し、我が国においても大きな問題となっている。最近の研究から、酸化ステロールは炎症反応に関与することが示唆されている。本研究では肥満に伴う酸化ステロール増加メカニズムを明らかにし、脂肪組織や全身での慢性炎症との相関を明らかにするとともに、酸化ステロール代謝関連酵素発現調節を介した肥満に伴う炎症を予防・軽減化する機能性食品創製を目指す。 前年度までの解析により、脂肪肝炎誘発食を投与したマウス肝臓において、炎症誘発性酸化ステロールを基質とする代謝酵素が顕著に低下していることを見出した。さらに、肝臓特異的な発現を可能にするアデノ随伴ウイルスベクターを用いた当該遺伝子のレスキュー実験から、脂肪肝炎誘発食投与に伴う肝臓における線維化マーカー遺伝子の発現上昇を抑制することを明らかにした。さらに、同実験により得られた結果から脂肪肝炎誘発時における当該遺伝子の発現低下は遺伝子の不安定化によることが予想された。そこで本年度は、新型コロナウイルスの影響により遅れが生じていたin vivo解析について解析を行うとともに、脂肪肝炎誘発時の酸化ステロール代謝酵素遺伝子発現低下のメカニズム解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの解析結果から、脂肪肝炎誘発マウスの肝臓において酸化ステロール代謝酵素が顕著に低下すること、さらに低下した当該遺伝子のアデノ随伴ウイルスベクターを用いた発現により、脂肪肝炎誘発食を投与による肝臓における線維化マーカー遺伝子の発現上昇が解消される傾向が見られることを明らかにしてきた。本年度はさらに、AAVを用いた酸化ステロール代謝酵素レスキューにより脂肪肝炎誘発食投与マウスの肝臓において炎症関連遺伝子の発現上昇が解消される傾向を見出した。これらの結果から、脂肪肝進行時における酸化ステロール代謝酵素の発現低下はNASH進行に寄与していることが示唆された。また、NCBIに収蔵されている遺伝子発現情報のデータベースを用いてCyp7b1の発現調節機構の予測を行い、いくつかの候補遺経路を見出した。これらは計画当初では昨年度に解析が完了している予定であったが、新型コロナウイルスの影響により本年度に解析することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響により遅れていたin vivoでの解析が本年度完了したため、再現性の確認とともにこれまでの成果をまとめ国際誌や学会等での公表を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により前年度に予定していたin vivoの解析に遅れが生じたため、事業期間の延長が必要となった。事業期間の延長承認申請書(様式F-14)は提出済みである。再現性確認のための試薬 (培地等)の購入のほか、本研究成果を公表する学会の参加費や国際誌投稿のための英文校正費、投稿費に使用する。
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