2020 Fiscal Year Research-status Report
多様な自然抗体と食を起源とする抗原の相互作用に関する研究
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19K15765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 栄太 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00803157)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ファージディスプレイ / 自然免疫 / ポリフェノール / 修飾タンパク質 / 抗体 / カテキン |
Outline of Annual Research Achievements |
食品成分と生体内タンパク質との化学反応には、解糖系に代表されるような生命維持に必須の代謝経路のほか、タンパク質表面アミノ酸への非特異的な化学修飾が知られている。後者の例である糖化・酸化産物によるタンパク質修飾体は、従来、加齢・生活習慣病・自己免疫疾患などに関連する異常な細胞や組織との関わりにおいて研究が進められてきた。一方、本研究では、抗酸化活性をもつポリフェノールによるタンパク質の化学修飾に注目し、ポリフェノール修飾タンパク質と自然抗体との相互作用から、食による健康作用を探究することを目的としている。 昨年度は、お茶に含まれるポリフェノールであるEGCG(エピガロカテキンガレート)修飾タンパク質と相互作用する一本鎖抗体(scFv)をえた。本年度は、ポリフェノール修飾タンパク質を認識する抗体に必要な配列の特徴を見出すために、15アミノ酸からなるランダムペプチドライブラリーを新たに構築し、EGCG修飾タンパク質と相互作用するペプチド配列の探索をおこなった。具体的には、T7ファージの外殻の一部を構成するカプシドタンパク質上に、NNKコドンでコードされるランダムなアミノ酸を15残基ずつ提示したファージライブラリーを作製した。イムノプレートに固相化したEGCG修飾タンパク質にペプチド提示ファージライブラリーを加え、一連のバイオパンニンング操作によって、EGCG修飾タンパク質に親和性の高いペプチドを提示するファージを濃縮した。このようにしてえられたペプチドの配列を解析したところ、アルギニン残基の出現率が有意に高い結果をえた。現在は、アルギニン残基を含めたアミノ酸配列の特徴について、引き続き解析と検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ランダムペプチド提示ライブラリーを新たに構築し、食品修飾タンパク質と相互作用するペプチドの特徴をえられつつあるため。これまでにえられた、食品修飾タンパク質と相互作用する抗体やscFvの配列と、今回えられたペプチド配列を比較することで、抗体の抗原認識に必要な配列の特徴を見出したい。一方、これまでにえられた配列と、ウイルスや細菌などの外来性抗原に対する交差性の解析は、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
EGCG修飾タンパク質に対して親和性をもつペプチドの性質をさらに深く解析する。また、ペプチドと修飾タンパク質との結合力の詳細を明らかにするために、ペプチドを融合させたモデルタンパク質を作成し、ELISA(酵素免疫測定)法やSPR(表面プラズモン共鳴)法などの手法によって解析する。また、その他の食品成分で修飾されたタンパク質や、細菌やウイルスなどに由来する外来抗原に対する交差性についても検討する予定である。以上の結果を総合的に比較・解析することで、食を起源とする抗原に親和性をもつ自然抗体の特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による研究室封鎖などの影響があり、予定していたFab抗体提示ライブラリーの構築や、外来抗原との交差性の検討に関する実験に遅延が生じたため。これらの実験については、次年度以降に行う予定である。
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Research Products
(1 results)