2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者で多発するビタミンB12欠乏性運動機能障害の発症機構の解明
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19K15767
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
美藤 友博 鳥取大学, 農学部, 助教 (20776421)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビタミンB12 / 線虫 / 筋肉 / ミオシン / アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者で多発するビタミンB12欠乏性運動機能障害の分子メカニズムを解明するために、モデル生物である線虫(Caenorhabditis elegans)を用いて、ビタミンB12の欠乏が筋組織の合成・分解制御システムに及ぼす影響を検討した。主に筋組織を構成するアクチンならびにミオシンのタンパク質発現をウェスタンブロット法で解析したところ、アクチンのタンパク質発現においては変動が見られなかったが、ミオシンのタンパク質発現が著しく減少していた。また、リアルタイムPCRを用いて、ビタミンB12欠乏が筋組織の合成・分解に関わる遺伝子の発現に及ぼす影響を検討したところ、タンパク質発現同様に、アクチン関連遺伝子には大きな変動は見られなかったが、ミオシンタンパク質をコードする遺伝子の発現減少とミオシン分解に関わるとされる遺伝子の発現が顕著に上昇していた。この現象は高齢者で多発するサルコペニアと非常によく似ており、ミオシンタンパク質を標的とした分解系がアップレギュレートされている可能性が示唆された。 そこで標的タンパク質の分解機構であるユビキチン・プロテアソーム系に着目した。これまでにビタミンB12欠乏では過酸化水素の蓄積など著しい酸化ストレスが誘導されることが明らかになっている。酸化ストレスの影響が報告されるユビキチンリガーゼに着目し、ビタミンB12欠乏がユビキチンリガーゼの遺伝子発現に及ぼす影響を解析した結果、著しくその遺伝子発現を上昇させていた。現在は、ビタミンB12欠乏で上昇したユビキチンリガーゼの遺伝子発現において、どの程度ビタミンB12欠乏性酸化ストレスが影響を及ぼしているのか検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたビタミンB12欠乏でのミオシンタンパク質の減少・破綻の再確認ができた。ビタミンB12欠乏時のミオシン合成・分解関連の遺伝子発現の検討により、今後の標的を絞れたため、おおむね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ビタミンB12欠乏時のミオシンタンパク質の蛍光写真を撮影し、視覚でもミオシンタンパク質の減少や損傷が確認できるのかどうか検討する。ビタミンB12欠乏時にユビキチン化されたミオシンタンパク質が増大するのかどうか検討し、ユビキチンリガーゼの発現変動にも着目する予定である。
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Research Products
(3 results)