2023 Fiscal Year Annual Research Report
新奇機能性食品素材の応用に向けたガセリ菌の膜小胞に関する研究
Project/Area Number |
19K15770
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
白石 宗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70725168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Lactobacillus gasseri / 膜小胞 / リポテイコ酸 / プロバイオティクス / ポストバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宿主と相互作用することが知られている「膜小胞(MV)」に関して、乳酸菌のような有用細菌においてMVの知見が少ないことに着目して、腸内乳酸菌の Lactobacillus gasseri のMVの特徴と免疫誘導能を明らかにすることで、MVの新たなポストバイオティクスとしての応用の可能性を評価することを目的とした。本研究では、以下の成果が得られた。 L. gasseri JCM 1131T および比較対象として Staphylococcus aureus ATCC 10832 を使用して、MVの精製を行った。抗LTA抗体を用いたイムノブロットによって、両MVに免疫調節因子として知られているリポテイコ酸(LTA)が含まれていることを明らかにした。さらに、これらのMV画分と菌体との膜脂質組成を比較するため、菌体から抽出した脂質をカラムでリン脂質、糖脂質、中性脂質に分けてGC-MSで分析した。その結果、全脂質に対してリン脂質、中性脂質、糖脂質が L. gasseri JCM 1131T で15%、38%、49%、S. aureus ATCC 10832 で35%、38%、23%含まれていたがぶれが大きく安定した結果が得られなかった。次に、MVの免疫誘導能を評価するため、ヒト単球細胞株THP-1細胞を用いて、IL-8の誘導能をELISAによって測定したところ、MV画分を100 ug以上添加した場合にIL-8の誘導が確認された。一方で、菌体 (100 ug) を添加した場合と比較すると、MV画分のIL-8を誘導する量は約半分であり、菌体と比べるとMVのIL-8誘導能は低いことが示唆された。さらにTHP-1, SW480細胞を使用してIL-8, Il-6, Il-10, IL-12の誘導能を比較したところ、菌体とは異なるMVのサイトカイン誘導能が認められた。
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