2019 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸に着目した非アルコール性脂肪性肝疾患の予防と予測技術の開発
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19K15776
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三浦 徳 日本大学, 生物資源科学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (90826281)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 脂肪肝 / 肝線維化 / アミノ酸 / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な肥満人口の増加と共に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が急増している。しかし、その予防法や病態悪化の予測技術は未発達である。本研究では、NAFLDの予防や悪化の予測におけるアミノ酸の有用性を明らかにしようと試みている。 本年度は、① アミノ酸改変食により誘導されるNASHモデルマウスについての経時的な病態解析と、② メタボローム解析を用いたアミノ酸を含む代謝物レベルの測定を実施した。①については、メチオニン低減コリン欠乏高脂肪食(CDAHFD)によって誘導されるNASHモデルマウスについて、肝線維化に先行して生じる表現型の変化を生化学・分子生物学・組織化学的手法によって経時的に解析した。CDAHFD給餌1週目から肝臓への顕著な中性脂質蓄積とCD68陽性マクロファージの集積が観察され、NASH関連マクロファージマーカーTrem2, Gpnmb, 線維化マーカーActa2, Col1a1, Col3a1、線維化制御因子Tgf-beta, Ctgf, BambiのmRNA発現レベルが増加した。一方、CDAHFD給餌4週目から肝ハイドロキシプロリン含量が増加し、8週目からコラーゲン線維沈着が組織学的に認められた。以上のことから、アミノ酸改変によるNASHモデルでは、実際の線維化発症よりもかなり早期に、脂質蓄積に起因する炎症応答や、線維化を誘導するシグナル経路の活性化が生じることが明らかとなった。また②について、①のNASHモデルマウスを解析することで、一部を除く標準アミノ酸の血中濃度がCDAHFD給餌1週目で一過性に上昇することが示された。以上の結果をふまえ、今後はNAFLD発症早期に観察されるアミノ酸代謝の変化と、線維形成メカニズムの関係に着目して検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ酸改変食により誘導されるNASHモデルマウスを作成、経時的な病態の解析を実施し、NAFLDの進行に伴う表現型の時間変化を捉えることができた。またメタボローム解析によって、アミノ酸を含む代謝物の動態を捉えることができた。さらに、研究実施の過程でGC/MSによるメタボローム解析ではアミノ酸の変化を再現性よく捉えることが難しいことが判明したため、より安定的な代謝物の測定を実施する目的で、LC-MS/MSを使用したワイドターゲット定量分析法を新たに確立した。以上の点から、当初の計画に対しておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって明らかとなった点をふまえ、①アミノ酸代謝に関わる遺伝子発現の定量や未測定代謝物の定量を中心にNASHモデルマウスのさらなる解析を進める。また、②アミノ酸の線維形成シグナルに対する直接的な関与について検討する。②については、まず初代培養細胞の単離方法および培養条件の最適化を実施、その後アミノ酸改変培地による培養やアミノ酸代謝経路を標的とした薬剤の添加といった検討を進める。以上2点を優先的に実施し、当初計画に沿って研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
理由 肝ハイドロキシプロリン含量の定量にLC-MS/MSを用いた絶対定量法を採用しKitの購入が不要となったことに加えて、分析法の最適化によってGC/MSを用いたメタボローム解析に関連する物品の消耗が想定よりも穏やかであったため、支出が当初計画よりも少額であった。 使用計画 初代培養細胞の単離および培養に必要となる、実験動物、実験動物飼養関連品、細胞培養実験試薬の購入費に優先的に充当する。また、新たに分析法を確立したLC-MS/MSを用いた代謝物定量分析の実施に伴う消耗品(誘導体化試薬、分析カラム)の購入に充当する予定である。
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[Presentation] The mechanism of FGF21-induced suppression of liver lipid accumulation during protein malnutrition2019
Author(s)
Hiroki Kosaka, Yori Ozaki-Masuzawa, Rino Abiru, Keigo Kawate, Yuki Kohno, Atsushi Miura, Morichika Konishi, Nobuyuki Itoh, Asako Takenaka, Takashi Hosono, Taiichiro Seki
Organizer
The 7th International Conference on Food Factors (ICoFF2019)
Int'l Joint Research
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