2020 Fiscal Year Research-status Report
食品成分の相互作用によって生じた活性酸素種の腸管内における生理的役割
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19K15777
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
岩崎 雄介 星薬科大学, 薬学部, 講師 (10409360)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食品成分 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗酸化物質として有名な食品中ポリフェノールと金属イオンとの相互作用によって、引き起こされる可能性について、活性酸素種(ROS)に注目した検証を行った。相互作用を引き起こす可能性が高い食品成分の組合せを検証するために、さまざまなポリフェノール(ヒドロキシケイ皮酸類)と金属イオン(またはミネラル成分)をそれぞれ人工腸液または胃液中で反応させ、高速液体クロマトグラフ/フォトダイオードアレイ検出器(LC/PDA)で測定を行った。昨年度に引き続き、可能性が高い組合せについて、検討を行った。カフェイン酸、シナピン酸は銅イオンと反応し、新たな化合物が生成されることが明らかとなったが、この生成メカニズムを解明するために、さまざまな酵素や金属キレート剤を併用した検証を行った。さらに、鉄イオンと銅イオンを共存させた場合についても検討を行った。これらの検討の結果、ヒドロキシケイ皮酸と銅イオンが反応することでROSが産生され、そのROSを介することによって、一部のヒドロキシケイ皮酸は別の化合物に変化していることが明らかとなった。 また、相互作用の結果、生体内に与える影響を評価できる分析法について、液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC/MS/MS)およびガスクロマトグラフ/タンデム質量分析計(GC/MS/MS)を用いたメタボロミクス解析を実施するために、各試料の調製方法や、分析手順について検討を行った。特に、脳内神経伝達物質の網羅的な解析ができる方法を検討しており、腸管内で生じたROSが脳へ与える影響を分析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
相互作用を引き起こす可能性が高い食品成分の組合せを選定するために、さまざまなポリフェノール(ヒドロキシケイ皮酸類)と金属イオンを採用し、新たに生成された化合物の構造決定や、その生成メカニズムについて検討した。しかし、実験動物を対象とした試験にやや遅れが生じており、3年目に行う投与濃度と投与期間が決定できていない。他方、3年目に実施する予定であった、生体内バイオマーカーの測定法の開発については、2年目に繰り下げ検証を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒドロキシケイ皮酸と金属イオンの組合せは決定しており、生体内で反応させた結果、生体内で新たに生じる可能性が高い化合物についても、候補物質を選定してある。また、生体内変化を評価するために必要な分析法についても着手している。実験動物の試料が得られ次第、各分析法で測定を行い、得られた結果から食品成分の相互作用と活性酸素種、腸管内の状況と生体変化を検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品を購入するにあたって、わずかに金額が足りなかったため、余剰が生じた。 次年度に、試薬や溶媒の購入に充てる。
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