2020 Fiscal Year Research-status Report
ポリメトキシフラボノイドの物性-吸収-代謝-活性の相互連関解析
Project/Area Number |
19K15778
|
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
渡辺 章夫 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (80630847)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ポリメトキシフラボノイド / 吸収と代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリメトキシフラボノイドは複数のフェノール性水酸基(-OH)がメトキシ基(-OCH3)に置換されたフラボノイドである。シークヮーサーなどに含まれるノビレチン(3', 4', 5, 6, 7, 8-Heptamethoxyflavone)に代表されるポリメトキシフラボノイドには抗炎症、抗肥満、抗皮膚老化、記憶障害改善など多様な生理活性が報告されている。本年度は、天然由来植物よりポリメトキシフラボノイドを単離・精製または購入した50種類のポリメトキシフラボノイドを用い、マウスマクロファージ様細胞株RAW264をLPSで炎症を惹起させることでNO産生を誘導した炎症モデルにおける抗炎症作用を評価することで、ポリメトキシフラボノイドの活性相関に関する解析を実施した。その結果、5,7-Dimethoxyflavone、5,7,3'-Trimethoxyflavone、5,7,4'-Trimethoxyflavone、5,7,3',4'-Tetramethoxyflavone、5,7,3',4',5'-PentamethoxyflavoneはLPS+のみの場合と比べ、強いNO産生抑制効果を示した。活性相関解析の結果、C環にメトキシ基を持たず、A環に5位と7位のみにメトキシ基を有し、B環にメトキシ基を持つ場合、3’位または4’位またはその両方に有するとNO産生抑制効果が高くなることが示唆された。また、3’位または4’位にメトキシ基を持ち、A環にメトキシ基を有さないとNO産生抑制効果が高くなると示唆された。また、C環にメトキシ基を持たず、3’位、4’位、5’位にメトキシ基を持ち、A環にメトキシ基を持つ場合5位と7位にメトキシ基を持つとNO産生抑制効果が高くなることが示唆された。これらのことから、メトキシ基の付く位置と生理活性(抗炎症)と構造特異的な活性相関が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度はシークヮーサーや黒ショウガなど天然物から様々なポリメトキシフラボノイドの単離・精製し、培養細胞を用いた活性相関解析を実施した。また、実験動物を用いて、反転腸管モデルを用いた吸収解析試験の事前検討を実施した。しかし、新型コロナウイルスの影響で、予定していた実験動物を用いた体内動態試験にやや遅れが出ている。次年度は実験動物を用いた体内動態試験を順次進めることで、吸収と生理活性の相関解析を実施していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は令和元年度に収集した50種類のポリメトキシフラボノイドを用いて、培養細胞を用いた活性相関試験を行うことで、メトキシ基の付く位置と数の違いによる活性相関データを得ることが出来た。メトキシ基の付く位置と生理活性(抗炎症)と構造特異的な活性相関が明らかにすることができた。令和3年度は腸管上皮細胞を用いた吸収試験において吸収効率がよく、生理活性(抗炎症作用)を有すると判断できたいくつかのポリメトキシフラボノイドを大量精製し、動物に経口投与を行うことでin vivoにおける吸収動態を評価することで吸収-代謝-活性の相互連関解析を行い、物性-消化-吸収-代謝から生理活性に至るまでの構造特異的な活性相関を生体レベルで検証し、解明する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下による移動制限によって、打合せやサンプル入手のための旅費が使用できなかったため、未使用額が生じた。学生を使った人件費・謝金なども新型コロナウイルスの影響により未使用額が生じた。未使用額はR3年度に繰り越して使用していく予定である。
|