2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of the basic technology for producing Z-isomer-rich carotenoid material having high bioavailability and excellent processability
Project/Area Number |
19K15779
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
本田 真己 名城大学, 理工学部, 助教 (60824191)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シス-トランス異性化 / 有機分子触媒 / カロテノイド / 安定化 / 抗酸化剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い抗酸化作用を有するカロテノイド類は、植物や微生物から溶媒抽出により得られる。その利用価値は極めて高いが、カロテノイド(トランス型)の溶媒への溶解度が低いため、天然から効率よく入手できないことが課題となっている。本研究は、カロテノイドを効率的にシス異性化させる新規化学変換技術を開発し、物性改変による溶解度特性の改善によって、天然資源からのカロテノイド素材を効率的に製造する基盤技術を確立する。
昨年度は、可食性植物よりカロテノイドの異性化を促進する新規触媒成分(イソチオシアネート類、ポリスルフィド類)を見出し、それらを活用して天然資源からカロテノイドを効率的に抽出する手法を確立した。本年度は、上記触媒成分の反応特性を詳細に調査した。その結果、触媒種や反応媒体(有機溶媒、油脂)の違いにより、異性化反応の効率が大きく変化することを明らかにした。例えば、イソチオシアネート類の中ではヘキシルイソチオシアネートやベンジルイソチオシアネートが高い異性化効率を示した。また、媒体にマスタード油やアルガン油を使用すると、他の油脂を用いた場合より異性化反応が効率的に進行することを明らかにした。さらに、触媒添加はカロテノイドの異性化のみならず分解も促進してしまうが、α-トコフェロールなどの抗酸化剤を添加すると、分解を抑制しながら異性化できることを確認した。
続いて、実用化を想定し、シス型カロテノイドの長期保管における安定性評価と安定化方法の開発を行った。20種類以上の油脂にシス型カロテノイドをそれぞれ懸濁し、長期保管した。その結果、特定の油脂がカロテノイド異性体の安定性を顕著に向上することを明らかにした。加えて、α-トコフェロールやBHAなど抗酸化剤を添加するとそれらの安定性がさらに向上することを確認した。本知見の活用により、シス型カロテノイド素材の社会実装が期待される。
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