2019 Fiscal Year Research-status Report
線虫における最終糖化産物(AGE)の簡易計測法の確立と食品因子による抑制機構
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19K15788
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小村 智美 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (10736515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | C. elegans / 線虫 / 最終糖化産物 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
長寿大国のわが国では、高齢化に伴う認知症患者の増加や癌の死亡率増加など加齢性疾患に関する課題が多い。近年、糖化ストレスで産生される最終糖化産物(AGE)が生理的老化や加齢性疾患に関与することが報告されているものの、AGE抑制物質を評価するためのin vivo評価系は確立されていない。これまで申請者は、線虫(C. elegans)をモデル生物として抗老化研究を進め、ヒトに有益な保健効果を示す乳酸菌やセサミンなどの食品因子が、線虫の寿命を延長させることを見出した。線虫を用いた寿命分析は約1か月で結果を出すことができるため、他のモデル生物よりも比較的早い期間で実験を行うことができる。しかし抗老化研究を進めるためには、寿命以外の生体内における老化制御機構を明らかにしている必要があり、寿命に代わる早期老化指標を開発することも課題となっている。そこで上記AGEに着目し、AGEを指標とした新たな老化マーカーの測定系確立を目指すこととした。今年度は、線虫を用いてAGE量の挙動変化を調べることとした。その結果、各日齢の線虫タンパク抽出物を用いてタンパク解析を行ったところ、加齢に伴い徐々にAGEが上昇していた。AGEは非蛍光性と蛍光性が存在する。そこで線虫タンパク抽出物の蛍光スペクトル解析を行うと加齢した線虫において特定の蛍光波長ピークが認められた。さらに、この蛍光波長はAGE由来であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに進み、蛍光とAGEの関係性を示唆できる実験結果を得た。そこで現在は線虫を生きたままAGE測定できる方法を開発中であり、新規性の高い測定系を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫を用いて非侵襲的なAGE測定系を完成させることを目指す。そして、その測定系を用いて、抗AGE効果を有する食品因子や化合物の探索を進めていきたい。
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