2020 Fiscal Year Research-status Report
線虫における最終糖化産物(AGE)の簡易計測法の確立と食品因子による抑制機構
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19K15788
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小村 智美 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (10736515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | C. elegans / 線虫 / 最終糖化産物 / AGE / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、加齢した線虫タンパク抽出において特定の蛍光波長ピークが認められ、本蛍光波長はAGE由来であることが示唆された。そこで2020年度は、線虫個体を生かしたまま蛍光測定できる手法の開発と改良を進めた。その結果、ウェルプレート上にラップを敷き、緩衝液のドロップ中に線虫を入れることで、タンパク抽出物と同一の蛍光波長ピークを得ることができた。その個体測定法を用いて、加齢マーカーおよび生体内の糖化マーカーとしての妥当性を検討することとした。まず各日齢の線虫を用意し個体蛍光測定を行ったところ、加齢に伴って蛍光値が上昇した。さらに13日齢の線虫の蛍光測定を行い、蛍光測定した線虫の余命を追跡したところ、蛍光値と余命に相関が認められ、本蛍光測定は老化マーカーとして利用できる可能性が示唆された。また、糖負荷培地で飼育した線虫の寿命分析と個体蛍光測定を行ったところ、対照群(浸透圧を同一にするためソルビトール添加培地で飼育)と比較してとリボース添加群で顕著に寿命短縮した。また個体蛍光測定でも急激に蛍光値が上昇した。死期が迫っている線虫(死亡数時間前)は、体内で蛍光を発するという先行報告がある。そのため本研究ではいずれの個体蛍光測定においても死亡2日前までの線虫を用いて実験したため、死亡時の蛍光を検出している可能性は低いと考えるが、確証は得れない状況である。そこで現在、死亡時に発する蛍光物質(キヌレニン)を生成する遺伝子を欠如させた変異体を用いることで、上記と同結果が得れるのか否か検証中である。さらに本手法を用いて、蛍光抑制可能な食品成分を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で購入入手できない試薬などが生じたが、おおむね当初計画通りに進めることができ、線虫を生きたまま蛍光測定できる方法を開発できた。本蛍光が間接的にAGEを検出していることを調べるために、さらに本法を用いて種々の条件下で検証を深めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫を用いて非侵襲的なAGE測定系を完成することができたため、2021年度は、本手法を用いてAGEおよび蛍光抑制可能な食品成分を探索する。そして本手法および、効果の認められた食品成分について論文発表を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、本研究で使用予定であった抗体・試薬・機器などを入手することが困難になったため、次年度使用額が生じた。翌年度は、早急に必要試薬などを取り寄せ、当初計画および課題を進めていく。
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