2019 Fiscal Year Research-status Report
食品成分による染色体分配機構を標的とした制がん効果に関する研究
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19K15789
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
叶 奈緒美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30780267)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 染色体分配機構 / 食品成分 / benzyl isothiocyanate / cancer / aneuploidy |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのがん細胞では高頻度の染色体分配異常が見られ、その制御機構を標的とした制がん戦略が注目されている。食品成分による制がん効果として細胞周期停止作用とアポトーシス誘導作用の関与が多数報告されているが、これらの作用が染色体分配機構の制御を介するかは不明である。そこで、染色体分配機構を標的にして制がん効果を発揮する食品成分の同定とその作用機序の解明を本研究の目的とした。申請者らの先行研究から、食品成分ベンジルイソチオシアネート(BITC)が染色体分配に必須の動原体構成因子Mis12の減少を介して制がん効果を発揮することが明らかになっている。しかし、BITCが染色体分配異常を介して制がん効果を発揮しているかどうかはよく分かっていない。染色体分配機構の攪乱があっても正常な染色体分配を維持して生存・増殖する能力は、異数性を有する細胞で比較的弱いと考えられている。そこで、本年度は細胞の異数性とBITCの制がん効果の関連性について検討を行った。異数性を有する細胞としてHeLaおよびSW480を用い、正常二倍体の細胞としてTIG-1およびhTERT-RPE1を用いた。BITCによる制がん効果として、細胞増殖阻害作用・細胞周期停止作用・アポトーシス誘導作用を評価し、細胞種による応答性の違いを検討した。その結果、BITCの細胞増殖阻害作用については、正常二倍体の細胞に比べて異数性を有する細胞で強く誘導されることが確認された。一方で、細胞周期停止作用とアポトーシス誘導作用については明確な結論を得るには至っておらず、さらなる試験が必要であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常二倍体の細胞に比べて異数性を有する細胞でBITCの細胞増殖抑制作用が強くなっていることを明らかにできた。しかし、本年度は出産・育児による研究中断があり、十分な研究時間を確保できなかったため、当初予定していたBITCによる染色体分配異常誘導のタイムラプス評価を実施するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
BITCの細胞周期停止作用・アポトーシス誘導作用と異数性との関連性について、明確な結論を得るために引き続き検討を行う。また、未実施となっているBITCによる染色体分配異常誘導のタイムラプス評価に取りかかる。さらに、DNA染色剤を用いたフローサイトメトリー解析や蛍光in situハイブリダイゼーション法により、BITCによる異数性の誘導率について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は出産・育児による研究中断があり、十分な研究時間を確保できず、研究の進行に大幅な遅れが生じた。今年度中に実施する予定であった、BITCによる染色体分配異常誘導のタイムラプス評価を次年度実施することになったため、その実験にかかる費用を次年度に繰り越して使用する。
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Research Products
(1 results)