2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of cultivation guidelines and a method for bulk quantitative analysis of anthocyanin in black rice in order to give a new added value to the products
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19K15798
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
山本 涼平 龍谷大学, 農学部, 実験助手 (70767540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 紫黒米 / アントシアニン / HPLC / 抗酸化活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
紫黒米は抗酸化能を有するアントシアニンを豊富に含むことが知られているが、アントシアニンは気温や光条件などの環境条件の影響を大きく受け、また品種によっても組成は大きく異なる。したがって、健康食品など紫黒米の高付加価値化を目指すためには、品種ごとの正確なアントシアニン組成データとそれに裏付けられた栽培指針の確立が不可欠である。しかしながら、特に紫黒米についてこれらの関係を詳細に解析した研究事例は少ない。そこで本研究では、①紫黒米に含まれるアントシアニンを一括して定量できるHPLC分析条件を確立し成分プロファイリングを行うこと、②環境条件に対する品種別の特性を明らかにし、それぞれの栽培指針を設定することの2点を主目的として研究を進めてきた。 ①については、本年度までに水田圃場で得られた約50品種の紫黒米3年分のサンプルについて、pH differential法および高速液体クロマトグラフィーによる詳細な成分分析を進めてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたことにより終了予定であったプロファイリングが完了せず、十分な品種特性の解析が行えていない。この点は次年度に持ち越し解析を継続する。 ②については、紫黒米中のアントシアニン量は光や環境の影響を強く受けることが人工気象器内での栽培試験で明らになってきたが(例えば同じ温度では強光条件が、また同じ光条件においては20℃よりも25℃の高温栽培の方がアントシアニンの含有量が有意に高くなる)、その一方で、アントシアニン量の増減ほど抗酸化活性に大きな変動は認められなかった。この点については十分なサンプル数が得られておらず、またサンプル間の誤差も大きいため明確な結論には至っていないが、フェルラ酸などのアントシアニン以外のポリフェノールの関与が予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、授業形態の変化への対応など予想を超える業務が逼迫し、本研究に割けるエフォートが極めて大きく減少した。この研究環境の変化は依然として続き、2022年度に完了予定であったアントシアニンをはじめとする成分分析が完了せず、当初の目的であった品種間差異などの解析が十分に達成されていない。したがって、進捗状況はやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を開始して、約50品種の紫黒米を栽培し3年分のサンプリングが終了している。昨年度から進めているアントシアニン組成のプロファイリングを次年度に継続して進め、平行して測定を行った抗酸化活性との関連性を明確にする。紫黒米について、これだけの品種を解析した事例はなく早期の文献投稿を目指す。 アントシアニン量が年次間で上下する点について品種間で差異が認められているが、人工気象器内で行った施肥試験や(肥料や光条件を変更して栽培)、それぞれの年の気象データなどを加えて、栽培環境に対する品種別の特性を評価する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響が依然として続き、その対応のため計画通りに研究が進展しなかったことから、予算執行が困難となり次年度に繰り越すこととした。 翌年度分として請求したこの助成金については、分析試薬の購入費および論文投稿費などとして使用する予定である。
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