2021 Fiscal Year Research-status Report
フラクトオリゴ糖摂取による細菌叢および真菌叢の変動メカニズム
Project/Area Number |
19K15799
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 完 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (20632946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 真菌叢 / プレバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内環境がヒトの健康や疾病に影響を及ぼすことが報告されている。例えば、肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などの疾患と密接な関係があることが報告されており、そのメカニズムに関する研究が進められている。一方で、腸内には数百種におよぶ腸内細菌が存在しており、それぞれの細菌が細菌同士もしくは宿主との関係の中で複雑なバランスを構成しているため、これらをコントロールすることができれば健康維持増進に繋がると考えられる。 このように近年様々な研究から腸内細菌および代謝物も含めた腸内環境がヒトの健康に関与していることが多数報告されているが、腸内には細菌のみでなく、酵母などを含めた真核生物の真菌やウイルスおよび寄生虫などの微生物で構成されている。そのため、腸内環境の変動を調べるためには細菌のみではなく、真菌やウイルスも含めた腸内環境へのアプローチが重要と考えられる。そこで本研究では、腸内に存在する真菌叢の解析に着目して、腸内細菌および真菌叢の解析手法について検討している。 上記の真菌叢解析の条件検討を行うとともに、プレバイオティクスの摂取による細菌および変動のメカニズムについても着目し研究を進めている。 マウスにプレバイオティクスとして知られているフラクトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖を摂取させ、非侵襲的なサンプルである糞便を時系列で回収することで細菌叢および真菌叢、宿主由来の糞便中IgAの変動を含めた各解析データを精査・解析し、関係性を調べている。各オミクスデータを統合した統合オミクス解析を行うことで複雑な細菌-真菌-宿主間のメカニズムについて明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症に関連した 「まん延増資糖重点措置」など感染対策に対応して、予定したマウス実験をスケジュール通りに行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、フラクトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖をマウスに摂取させ、その糞便中から細菌叢および真菌叢の構成の変動について調べた。更に、それぞれ短期的(数日)および長期的(1ヶ月)の摂取期間による細菌-真菌叢の違いについて解析を行っている。 今後は、動物試験での再現性やn数におけるデータ不足を補うようにマウス試験を行い、プレバイオティクスによる資化性が異なることもしくは腸内細菌-腸内真菌叢の構成変動の違いをデータ解析から明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に関連した 感染対策に対応して、昨年度に予定したマウス実験をスケジュール通りに行うことができなかったため、本年度では予定していた動物実験などを行い細菌-真菌叢を調べるために次世代シーケンサーによる解析を行う。
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