2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of steroid hormones on the production and secretion of gut hormone
Project/Area Number |
19K15800
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
中島 進吾 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 特別研究員 (50750014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コレシストキニン / ステロイドホルモン / 消化管内分泌細胞 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイドホルモンはストレス応答や性成熟など、生体機能を多岐にわたって調節する重要な内在性因子の一つである。精神的なストレスや妊娠などではステロイドホルモンバランスが大きく変化し、食欲不振や過食など食欲制御にも影響する。 消化管には、食欲や消化吸収を制御する生理活性ペプチド(消化管ホルモン)を産生・分泌する消化管内分泌細胞が散在している。ステロイドホルモンが消化管内分泌細胞に与える影響は依然として不明な点が多く、これらを明らかにすることで精神的ストレスや妊娠による食欲制御の異常を改善できる可能性がある。 消化管内分泌細胞株を用いた実験系において、合成グルココルチコイド(デキサメタゾン)によりGRを活性化することで、食欲抑制作用を有する消化管ホルモンの一種であるCholecystokinin (CCK) 遺伝子発現量が減少すること、および分泌刺激剤(塩化カリウム)によるCCK分泌量が減少することを明らかにした。ラットへのデキサメタゾン投与によって、消化管上部におけるCCK遺伝子発現量は減少した。しかしながら、これらのラットでは摂餌量および体重の低下が観察され、急激なステロイドホルモン受容体の活性化は、過食よりも食欲不振を引き起こし、消化管におけるCCK発現量低下とは一致しなかった。こうしたステロイドホルモンによるCCK発現量の低下は、ストレス回復期における食欲増進に寄与すると想定し、ストレスからの回復期における消化管ホルモンの影響について今後解析を進める予定である。 令和1年10月よりUniversity de Montreal Hospital Research Center に留学しており、他研究課題の遂行に専念するため本研究課題を中断した。
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