2019 Fiscal Year Research-status Report
流通食品中農薬等の存在確認を可能とする分析法確立及び基準値設定における適格性検証
Project/Area Number |
19K15801
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Research Institution | Aichi Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
渡邉 美奈恵 愛知県衛生研究所, 衛生化学部生活科学研究室, 室長 (90525768)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 残留農薬 / 食品分析 / 食品衛生 / 流通食品 / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
農薬の残留基準は、対象とする食品により農薬本体だけでなく、代謝物等も含めた基準値が設定されている。そこで、本研究では、流通している食品中に残留している農薬本体及びその代謝物等の存在確認を可能とする高感度分析法を確立し、残留基準値設定における科学的根拠となるデータを収集するとともに、その適格性を検証することを目的としている。 令和元年度は、食品から効率良く残留農薬を抽出し、分析を妨害する色素、脂肪などの夾雑物を効果的に除去したのち、感度、選択性に優れる液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC-MS/MS)、ガスクロマトグラフ/タンデム質量分析計(GC-MS/MS)などを用いて測定する系統分析法の確立を目指した。 野菜、果実、穀類、野菜加工品等に適用可能な分析法について検討した結果、試料からアセトニトリルでホモジナイズ抽出し、溶媒を留去後、残渣を酢酸エチルに再溶解して無水硫酸ナトリウムで脱水後、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)、グラファイトカーボン、シリカゲル等の固相ミニカラムにより精製する方法を確立した。また、食肉等については、試料中の脂肪組織等を溶解しながら、水溶性の高い代謝物を効率よく抽出する方法として、酢酸酸性下でn-ヘキサン及びアセトニトリルを用いてホモジナイズ抽出し、GPC 処理後にSAX/PSA 連結ミニカラムで精製する方法が有効であった。測定は、農薬本体と代謝物等の同時定量が可能なLC-MS/MS(液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計)を主に採用し、C18カラムに移動相として5 mM 酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリルを用いたグラジエントモードによる分離条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
農薬本体における食品中残留農薬の一斉分析法については概ね確立されたが、一部の代謝物で回収率が低く、再検討が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の食品中の一斉分析法を概ね確立することができたが、一部の代謝物等については回収率が低いため、再度検討する。分析法を改良後、速やかに実態調査を開始してデータを収集するとともに、食品からの残留農薬検出事例を解析し、設定された残留基準値の適格性について検証する。また、食品の種類により農薬本体及び代謝物等の存在割合に特徴的な規則性があるかどうかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
検出データの収集不足により、当初予定していた学会等の発表まで至らなかったため。次年度使用額については、実態調査のための標準品、有機溶媒、固相カートリッジ、分析カラム等の購入に充てる。
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