2019 Fiscal Year Research-status Report
ファイトプラズマのホストスイッチングを担う遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
19K15805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二條 貴通 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (80803139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ファイトプラズマ / 遺伝子発現制御 / ホストスイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物病原細菌ファイトプラズマは昆虫により媒介され、世界各地で農業生産に大きな被害をもたらしている。ファイトプラズマは植物-昆虫間ホストスイッチングに伴い遺伝子発現を劇的に変化させるが、ファイトプラズマの遺伝子発現制御機構の詳細は未だ不明である。本研究ではホストスイッチングに伴うファイトプラズマの遺伝子発現制御因子として、主に非コードRNAに着目し、RNAシーケンス解析およびin vitro転写系を用いた解析により、非コードRNAによるファイトプラズマの遺伝子発現制御機構解明を目的としている。 本年度は次世代シーケンサーを用いたRNAシーケンス解析により、植物および昆虫の各感染時における転写産物の網羅的解析について実験系の検討を行った。ファイトプラズマは純粋培養が困難であるため、感染宿主由来のRNAごと解析する必要があり、ファイトプラズマ由来のRNAを効率的に解読する系を確立する必要がある。これまでに、感染植物由来のRNAについてファイトプラズマ由来のRNAを効率的に解読する系を構築していたが、感染昆虫由来のRNAに対して同様に適用することが困難であったため系の改良を行った。改良後の系では、ファイトプラズマ感染宿主由来のRNAの中からファイトプラズマ由来のRNAを効率的に解読できることを確認した。 今後は、RNAシーケンス解析により得られたデータから非コードRNAを探索し、リスト化を行う進める。植物-昆虫間で非コードRNAリストを比較することで、各宿主感染時に特異的に転写される非コードRNAの絞り込みを行う。以上の解析により得られた非コードRNAについて、実際にファイトプラズマの遺伝子転写制御に関与するか検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は次世代シーケンサーを用いたRNAシーケンス解析により、植物および昆虫の各感染時における転写産物の網羅的解析について実験系の検討を行った。ファイトプラズマは純粋培養が困難であるため、感染宿主由来のRNAごと解析する必要があり、ファイトプラズマ由来のRNAを効率的に解読する系を確立する必要がある。これまでに、感染植物由来のRNAについてファイトプラズマ由来のRNAを効率的に解読する系を構築していたが、感染昆虫由来のRNAに対して同様に適用することが困難であったため、系の改良を行った。検討の結果、ファイトプラズマ感染宿主由来のRNAの中からファイトプラズマ由来のRNAを効率的に解読する系を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシーケンス解析により得られたデータから非コードRNAを探索し、リスト化を行う進める。植物-昆虫間で非コードRNAリストを比較することで、各宿主感染時に特異的に転写される非コードRNAの絞り込みを行う。以上の解析により得られた非コードRNAについて、実際にファイトプラズマの遺伝子転写制御に関与するか検証するため、in vitro転写系を用いた解析を行う。培養困難なファイトプラズマの転写機構を解析可能なin vitro転写系をすでに確立済みであり、まずこの系を用いて非コードRNAが実際に転写されることを検証する。転写が確認された非コードRNAについては、通常の遺伝子コード領域を鋳型とするin vitro転写系と組み合わせ、mRNAの転写量への影響を解析する。
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Causes of Carryover |
RNAシーケンス解析が当初予定していた回数より少なく済んだため。また、学会参加についても当初予定より回数が少なかった。
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Research Products
(9 results)