2019 Fiscal Year Research-status Report
酵母における構造性糖質の細胞内代謝分解の仕組みとその意義
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19K15806
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
梅川 碧里 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (60633097)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖質代謝 / 細胞応答 / 糖質飢餓応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖質飢餓におかれた酵母が高マンノシル糖鎖を細胞内で代謝分解するメカニズムとその生理的意義を明らかにすることである。当該年度においては、酵母が糖質飢餓に応答して高マンノシル糖鎖の代謝分解を活発化するメカニズムにおいて重要な役割を担う新規の遺伝子を同定し、その細胞内機能を明らかにすることを試みた。
研究代表者が独自に樹立した手法を用いてスクリーニングを行い、機能未知の遺伝子がこのメカニズムに関わることを見出した。さらに、本遺伝子は細胞内代謝制御に重要なTOR複合体の働きを細胞外糖質の存在量に応答して適切に制御調節する生理機能を担うことを新たに明らかにした。そして、本遺伝子は、糖質飢餓応答に重要な既知のSnf1経路を介することなくTOR複合体経路の機能制御に関わることを示唆するデータが得られた。また、酵母の糖質飢餓応答においては、細胞周期の変化が重要であることを示唆するデータが得られた。
また、マンノース代謝に関わることが推定されたホスホマンノース異性化酵素の内在性タンパク質の発現量が糖質飢餓時に上昇するのではないかと予想し、検証実験を行ったが、予想とは異なり、本酵素の発現量は糖質飢餓時には減少するというデータが得られた。したがって、糖質飢餓時におけるマンノース代謝には既知のホスホマンノース異性化酵素とは別の代替酵素が存在するか、あるいは別経路が糖質飢餓時に活性化される可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、酵母の糖質飢餓応答に重要な新規遺伝子を同定し、その結果の一部は当該年度中に原著論文に発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
糖質飢餓条件で高マンノシル糖鎖を細胞内で代謝分解する生理的意義を明らかにするため、同定した遺伝子を含むいくつかの遺伝子との多重遺伝子破壊株の解析や構造性糖質の物理的変化について解析する。また、マンノシル糖鎖の代謝に重要な遺伝子・酵素の探索についても引き続き進める計画である。
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Causes of Carryover |
実験の都合上、年度末に購入予定していた試薬を購入する必要がなくなったため、その試薬の購入のために残していた金額分が繰越となってしまった。新たに必要となった別の試薬を購入する費用に充てる計画である。
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Research Products
(4 results)