2020 Fiscal Year Research-status Report
外来塩基配列による翻訳促進効果を利用した大腸菌タンパク質発現系の革新と原理の解明
Project/Area Number |
19K15809
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 興 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50728293)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 大腸菌 / 物質生産 / 遺伝子発現 / 翻訳 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌を用いた異種タンパク質の生産は,研究室レベルに留まらず産業レベルでも基盤的な技術として利用される。本研究では,研究代表者らが最近見出した「大腸菌のタンパク質翻訳が外来の塩基配列によって促進される現象(TED)」を基にしたタンパク質生産力の強化に関する技術開発とその法則性の解明に取り組む。TEDは,Shine-Dalgarno配列の上流に特定の塩基配列を挿入することで,その下流にある遺伝子配列の翻訳量を増大させる方法である。現在までの検討では,どのような配列が適当か,その背景にどのような法則性があるのかなど,十分な知見が得られておらず,改良の視点に欠くため実用化も現実的ではない。そこで,本研究によってそれらの点を明らかにする。 本年度は,翻訳促進効果のメカニズムを明らかにするため,TEDの影響下にある遺伝子の転写産物の量に着目した。組換え大腸菌を作成し,RNA精製後レポーター遺伝子の転写産物の量をリアルタイムPCR法によって検討した。その結果,コントロールと比べてRNA量が数倍程度多いことが明らかになった。 また,TEDの特性を示す配列の改良を目的として,変異導入とその影響の解析も一部進めた。現時点で数種類の候補が見つかり,今後の試験に供することができるか詳細な分析を進めている。さらに,開発中であった顕微鏡撮影画像を基に発現量を評価するための画像処理プログラムも比較的精度の高いものができた。引き続き改良を続け,次年度内の完成を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画に沿えているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って,TEDのメカニズムとより効果的なその利用の実践に取り組む。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延防止措置による実験停止期間があったため。消耗品の購入に充てる計画である。
|