2021 Fiscal Year Annual Research Report
核ゲノムと細胞質ゲノムの協働作用から解明するバレイショの四分子型雄性不稔性
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19K15813
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
實友 玲奈 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20716378)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞質雄性不稔性 / バレイショ / Solanum stoloniferum / ミトコンドリア / 種間雑種 |
Outline of Annual Research Achievements |
バレイショの四分子型細胞質雄性不稔性(T-CMS)に関わるミトコンドリア遺伝子を明らかにするために、次世代シーケンサーを用いてSolanum stoloniferum由来の4系統の種間F1雑種(2系統は正常花粉を産出し、残りの2系統はT-CMSを示す)、およびT-CMSを有する品種Alwaraのミトコンドリアゲノム配列を解読し、それらの遺伝子配列の比較を行った。 その結果、アセンブリングの全長は462,716〜535,375 bpとなり各系統2〜7つのミトコンドリアゲノムコンティグ得られた。その中に、リファレンスのミトコンドリアゲノムとは異なる2つの組換え型コンティグ(RC-IおよびRC-II)が同定された。 そのうち、RC-I はrpl5-ψrps14遺伝子がnad6遺伝子に結合し、新しい遺伝子間領域を生成していた。このRC-Iの特異的遺伝子間領域を増幅するPCRマーカー(P-3)を使用してRC-Iの有無を40系統のS. stoloniferumと39系統のF1雑種を用いて調べた結果、この遺伝子間領域は、T-CMSを示す種間雑種とその親のS. stoloniferum系統でのみ出現することを発見した。さらに27のバレイショ野生種からなる129系統を用いてRC-Iの有無を調査した結果、メキシコ原産二倍体野生種のS. verrucosumとメキシコ原産の倍数種でのみRC-Iのバンドが検出された。8系統のS. verrucosumを母親にして得た92の種間雑種の花粉稔性を調査した結果、RC-Iを保有する4系統のS. verrucosumに由来する雑種だけがT-CMSを示した。 以上の結果より、RC-Iは明らかに四分子型細胞質雄性不稔性と関連しており、RC-I特異的遺伝子間領域には、T-CMSの原因因子となる新規遺伝子が含まれている可能性が考えられた。
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