2019 Fiscal Year Research-status Report
ダイズの菌根菌接種による生育応答を決定する地下部形質の解明と関連QTLの同定
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19K15822
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
神山 拓也 宇都宮大学, 農学部, 助教 (80750801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根 / 根系 / リン / ダイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
リン資源は世界的に枯渇が危惧され、リン施肥量の削減が不可欠である。アーバスキュラー菌根(AM)菌は外生菌糸により、植物のリン吸収を助ける。リン施肥量削減に向け、ダイズのAM菌接種による生育応答(Mycorrhizal Growth Response, MGR)の高い品種の育成が求められている。本研究では、根箱法の改良により菌糸と根系を同時に定量化することで、ダイズミニコアコレクションのMGRを決定する地下部形質を解明し、ゲノムワイドアソシエーション解析GWAS)によりそのQTLを同定することを目指す。 今年度は2つの実験をおこなった。まず、AM菌の菌糸をトラップできるフィルターを設置した根箱を用いて、異なる位置にAM菌を接種した区と接種しない区を設け、ダイズを栽培し、菌糸と根系の両方の定量化を試みた。根箱中に伸展した状態のAM菌の菌糸分布と根系、両方の画像を得る事に成功し、根系とAM菌の菌糸の繁茂部位が一致することを示唆できた。しかし、得られた菌糸画像中の菌糸は非常に細いため、菌糸の定量化には至っていない。これまでに、画像の取得に適した解像度と、適切な菌糸の染色液およびその濃度がわかってきたため、現在これらの条件のもと菌糸の定量化を進めている。次に、日本のダイズミニコアコレクションの内、開花期が大きく異ならない12系統と、根箱を用いたAM菌の接種試験の解析をおこなった。その結果、品種に関わらず、非接種区のリン吸収量については根表面積で大部分を説明できるが、接種区のリン吸収量については根表面積のみではほとんど説明できず、根表面積とともにAM菌感染率を計測する必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、AM菌の菌糸をトラップできるフィルターを設置した根箱により、根箱中に伸展した状態のAM菌の菌糸分布と根系、両方の画像を得る事に成功したため。また、接種区のリン吸収量を根表面積とAM菌感染率で説明できることを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
根箱中に伸展した状態のAM菌の菌糸分布と根系、両方の画像を得る事に成功したが、菌糸の定量化には至っていない。そこで、根箱を用いた菌糸の定量化と並行して、ダイズミニコアコレクションを用いた圃場試験を実施し、MGRを決定する地下部形質を解明する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた測定機器より安価で必要条件を満たす代替品を購入したため、次年度使用額が生じた。
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