2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15832
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 総一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 器官サイズ / 全ゲノム解析 / 倍数性 / 果実発達 / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カキ九倍体品種‘平核無'から生じた小果変異体‘突核無’と、その復帰体を対象に、小果変異をもたらしたメカニズムの調査を通して、果実サイズの制御機構を明らかにすることを目的としている。2019年度は以下に示す3つの点について進展があった。 1) 開花期を中心に5ステージにわたるトランスクリプトーム比較および組織観察を行い、'突核無’は果実発達が前進していることが示唆された。また、この発達の前進が生じる鍵ステージをほぼ同定することができた。さらに、トランスクリプトーム解析より、復帰変異は小果変異と同じメカニズムを用いて果実サイズを制御していることが示唆された。 2) ‘平核無'は古い栽培品種であり、変異体が多く知られている。本研究では‘突核無'と復帰体に加え、‘平核無'およびその変異体の‘刀根早生'、‘大核無'のリシーケンス解析を行った。kmerの頻度分布では、予測されたピークに加えて、予期しない位置にもピークが得られており、‘平核無'のゲノムにおける大きなリアレンジメントが予想された。また、‘突核無’とその復帰体に特異な変異をいくつか同定した。 3) ‘突核無'の中に、復帰変異のほかに、果実サイズの連続的なバリエーションを生じる樹を発見した。これを2か年にわたって(2019年度が2年目)詳細に解析したところ、果実サイズのバリエーションが枝ごとに遺伝的に制御されていることが明らかになり、新たな解析対象として有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小果変異の制御機構については計画通りの進展が見られ、また制御に関わる重要なステージを同定できたことから、2021年度の解析を予定通り行うことができる。小果変異自体の同定には至っていないものの、配列情報は蓄積できており、2021年度に候補多型の探索を進める予定である。さらに、新たな材料として上記の個体を得たことから、小果変異と復帰のメカニズムをさらに詳細に解析可能になったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
小果変異の制御機構については、おおむね当初の目的を果たしている。2020年度はトランスクリプトームデータを用いた中心制御因子の探索、サイズの連続的なバリエーションを示す個体のRNAseq/small-RNAseq解析、またサイトカイニン処理が発達ステージの前進に与える影響の調査などを行う予定である。また、得られる制御機構のカキ果実サイズの多様性における役割を、多様な果実サイズを示す遺伝資源を用いて調査する。さらに‘平核無'変異体群のリシーケンスデータを用いて、それらの多様性やゲノム構造について調査するとともに、小果変異の同定を目指した実験を行う。
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Research Products
(1 results)