2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of pathogenetic expression mechanism of cyclic single-stranded RNA viroids ₋Search for target host factors₋
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19K15842
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
対馬 大希 秋田県立大学, 生物資源科学部, 特任助教 (20803943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイロイド / PSTVd / トマト / スモールRNA / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、PSTVdの左側分子に関して病原性との関係を分析するため、PSTVdダリア株(弱毒型)に特徴的な左側分子中の塩基置換を、基準株をはじめとする強毒株に変異導入した変異体10種を構築した。作成した感染性クローンをもとに作成したRNA転写産物(接種源)をRutgersトマトへ接種したところ、今回作成した変異体は全てトマトへ感染した。接種後1か月目の感染トマトからRNAを抽出し、塩基変異の有無を調査したところ、PSTVd左側分子への塩基変異導入は高確率で共変異を誘導するが、共変異した場合も病原性にはほとんど影響しないことが明らかになった。 また、次世代シークエンス解析で得られたデータをもとに、PSTVd感染トマト体内(細胞中)で特に蓄積量の多いウイロイド由来のスモールRNA(Viroid-sRNA)についてin silico解析を実施したところ、標的となりえる宿主因子が見出された。 PSTVdと同様、検疫病害指定ウイロイド種(TCDVd、TASVd、CLVd)について、Rutgersトマトへ接種を行った。いずれも接種後3週間~1か月目で感染を確認し、検定用サンプルの準備を完了した。併せて、Viroid-sRNAと同様に標的宿主因子として考えられるマイクロRNAについて、標的候補2種(miR159とmiR319)の検出用プローブをmiRBaseで選定した。 次に、RNAiを介してVirP1タンパク質をノックダウンした遺伝子組換えトマト(品種:マイクロトム)について、mRNA発現量を野生型と比較した結果、0.4-0.5倍程度に抑制されていることを確認した。現在、作成した遺伝子組換えトマトを用いた接種試験の準備を進めている。得られた成果の一部は、データを取りまとめ、国際誌への論文投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に作成した変異体10種は、全てトマトへの接種を完了し、全ての変異体がトマトへ感染性を示すことを確認した。また、ウイロイド病の病原性発現に関与する標的因子として考えられるViroid-sRNAやmiRNA種についても、in silico解析や変異体構築実験を計画通りに実施し、2年目の研究計画の遂行に必要な準備等を完了している。 以上より、1年目は研究計画に従い研究を進め、計画通りの成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はまず、1年目に実施した感染実験で陰性であった変異体について、再度トマトへ接種し再現性を確認する予定であったが、全ての変異体が感染性を示した(陽性であった)ため、データの充実をはかる。具体的には、PSTVd陽性であった接種トマトに関して、それぞれ5サンプル以上のシークエンスデータを得られるよう追実験を行う。感染実験やシークエンス解析の結果をもとに、病原性との相関が見られた塩基変異について、自然界での出現頻度をデータベースに登録された世界中のウイロイド分離株データに基づき算出する。また、in silico解析で見出された標的宿主因子について、塩基配列との類似性が異なる変異体を複数構築し、1年目と同様にトマトへの接種試験を実施する。感染トマトに関しては、複製能、蓄積量、病徴の強弱について評価する。miR159とmiR319に関しては、1年目に得られたサンプルと検定用プローブを用い、各ウイロイド感染トマト体内での発現レベルを定量分析する。 2年目後期は、研究成果を総合的に考察し、PSTVdの複製能・病徴の強さを制御するウイロイド側因子を塩基レベルで明らかにする。また、ウイロイドの病原性の発現機構について、対象の標的宿主因子がウイロイド全般に共通する標的宿主因子となりえるかを評価し、新たな病原性発現モデルを提案する。さらに、補助事業期間全体を通して、得られた研究成果は順次国内学会で発表するとともに、原著論文を執筆し国際誌へ投稿する。
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Research Products
(1 results)