2021 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫イオノトロピック受容体ファミリーによって仲介される味覚シグナルの解明
Project/Area Number |
19K15848
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
遠藤 悠 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員 (50837474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カイコ / 味覚 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
カイコの味覚におけるイオノトロピック受容体(IR)ファミリーの機能を明らかにするため、29種類すべてのIRの機能に必須のco-receptorと考えられているIR8a, IR25aおよびIR76bをノックアウトすることにした。CRISPR-Cas9システムを用いて3遺伝子それぞれについてヌル変異を持つ個体を得ることに成功したが、IR25a変異体とIR76b変異体についてはホモ接合体を得た段階でほとんどの個体が幼虫期に死に、系統が途絶えてしまった。この原因は不明だが、同じ環境で飼育されていた他系統は若干の死亡個体こそあれ問題なく継代できていたことから、これらのIR遺伝子欠損が、例えば摂食や免疫などに関連した、生存に重要な形質に影響を与えた可能性がある。
唯一得ることができたIR8aノックアウトカイコについて、チップレコーディングと呼ばれる電気生理学的手法によって味覚神経の応答を調べた。本研究では味覚受容体のリガンドの範疇でないと考えられる脂肪酸やステロールに着目しており、前年度までの解析によって、カイコの複数の味覚器官の中でも小顋肢が一部の脂肪酸やステロールの受容に関わることを明らかにしてきた。したがってIRがこれらの受容に関わることを期待したが、IR8aノックアウトカイコにおいて調べた範囲における脂肪酸やステロールに対する顕著な応答低下は認められなかった。特にカイコのクワ認識に必要なβシトステロールに対する応答がまったく低下しなかったことは、IR8aがカイコのクワ認識に関与しないことを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Ultrasensitive detection by maxillary palp neurons allows non-host recognition without consumption of harmful allelochemicals2021
Author(s)
Shii, F., Mang, D., Kasubuchi, M., Tsuneto, K., Toyama, T., Endo, H., Sasaki, K., Sato, R
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Journal Title
Journal of Insect Physiology
Volume: 132
Pages: 104263
DOI
Peer Reviewed
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