2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of endangerd avian derived iPS cells and PGC-like cells.
Project/Area Number |
19K15858
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
片山 雅史 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (80784090)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 絶滅危惧種 / 鳥類 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物多様性ホットスポットである我が国には、3155種もの絶滅危惧種が生息している。全ての危惧種を保護増殖出来れば理想的だが、現実には難しい。本研究では、保護増殖の一助として、絶滅危惧鳥類の幹細胞を樹立・保存し、資産として次世代への引き継ぎを計画した。本研究では、(1)申請者らが開発した効率的な鳥類の人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立方法を応用し、生殖細胞の保存が事実上不可能な絶滅危惧鳥類の体細胞からiPS細胞を樹立する。(2)樹立したiPS細胞から、始原生殖細胞様細胞(PGCLC)への分化誘導法を開発する。 本年度は、絶滅危惧鳥類の体細胞を用いて、iPS細胞の樹立条件の検討を進めた。これまで、鳥類のiPS細胞はほとんど報告されておらず、絶滅危惧鳥類のiPS細胞の樹立の報告は得られていない。一方で、我々の研究グループでは、独自開発のリプログラミング方法を用いることで、効率的なニワトリのiPS細胞の樹立に成功している。そこで、本年度は、我々が開発したニワトリのiPS細胞の樹立法を改変することで、絶滅危惧鳥類のiPS細胞の樹立を試みた。樹立条件を改変した結果、効率的に数種類の絶滅危惧鳥類数種類のiPS細胞様細胞の樹立に成功した。この樹立効率は、ヒトなどの哺乳類と比較しても高い樹立効率であった。また、簡易的ではあるものの、多能性マーカーを染色した結果、陽性であることが確認された。 次年度においては、本年度樹立したiPS細胞様細胞の詳細な性質解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定通り、初期化因子や低分子阻害剤の組み合わせを検討することで、絶滅危惧鳥類のiPS細胞の樹立条件を探索した。結果、絶滅危惧鳥類のiPS細胞の樹立条件の探索に成功し、iPS細胞様の細胞の樹立に成功した。次年度以降は、このiPS細胞様の細胞の性質解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目においては、樹立したiPS細胞の性質解析を進める。第一に未分化状態を確認するために、多能性関連マーカー発現、多能性関連遺伝子の発現解析を進める。さらに、多能性を確認するために、細胞移植による三胚葉分化能力の解析や試験管内における分化能力の解析を進める。また、染色体の核型解析も進める。 3年度目においては、始原生殖細胞様細胞への分化誘導を試みる。
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Causes of Carryover |
本年度、動物への移植実験など数種類の機能解析実験を予定していたが、次年度に実施することとなった。したがって、次年度使用額が生じた。
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