2020 Fiscal Year Research-status Report
ロングリード次世代シーケンサーを用いた湖沼のシアノバクテリアモニタリングの高度化
Project/Area Number |
19K15860
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
山口 晴代 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (20722672)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アオコ / シアノバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアは湖沼の重要な一次生産者である一方、有毒種を含むことから、その動態を常に監視することが必要である。本研究では、霞ヶ浦をモデル湖沼として、そこに生息するシアノバクテリアの動態を、USB型ロングリード次世代シーケンサーMinIONを用いたメタバーコーディング解析で明らかにすることを目的としている。本研究により、有毒種に対するリスク管理に貢献しうる簡便で精度の高い新規モニタリング法の確立を目指す。 2019年度は培養株を用いて擬似的にシアノバクテリアのコミュニティーサンプルを作成し、これを用いて、MinIONによる高精度の16S rRNA遺伝子のほぼ全長配列の取得を行った。2020年度は霞ヶ浦の国立環境研究所モニタリングステーション9で得られた表層水からDNA抽出を行い、同様の配列取得を試みた。その結果、培養株と同様に、環境サンプルからも高精度の16S rRNA遺伝子のほぼ全長配列を取得することができた。しかし、環境サンプルでは、想定されるOTU数が培養株と比べて多いため、一定のOTU数を確保するには、現行のプロトコルのフローセル1枚でのランでは不十分であることもわかった。 また、高品質の16S rRNA遺伝子リファレンス配列セットの整備のため、国立環境研究所微生物系統保存施設に保存されていないシアノバクテリアの分類群をターゲットとして、霞ヶ浦表層水サンプルを用いて、21株の新規シアノバクテリア培養株の確立を行い、その配列決定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止措置のため、実際に実験室での実験ができないなどの状況が生じたこと、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴い、実験に使う消耗品が日本に輸入されない等の状況が生じたため、研究の進行がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MinIONによる高精度の16S rRNA遺伝子の全長配列の取得に関する既報のプロトコルを改良し、再現性の高いプロトコル作成を行う。また、追加的に別の環境サンプルを用いて、同様の結果が得られるかどうか確かめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、実験に使用する消耗品が年度内に手に入る見込みが立たなくなったため、次年度に予算を繰り越した。昨年度利用予定であった消耗品を購入する。
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Research Products
(2 results)