2019 Fiscal Year Research-status Report
Foodshed概念を用いた都市空間の再評価と計画論への展開
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19K15863
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 晶子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (90700930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市食料政策 / Metropolitan Foodshed / Community Foodshed |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は(1)海外都市の食料政策レビュー、(2)Metropolitan Foodshed Mapping(都市圏全体の食糧需要を賄うのに必要な圏域の地図化)、(3)Community Foodshed Mapping(都市農業による小規模分散型の食糧の消費・資源循環圏を地図化)の3つについて研究を進めた。 (1)海外都市の食料政策レビューについては、2019年5月にミラノ市の食料政策局に訪問し、都市の食料政策に関する世界的なイニシアチブであり、現在209の都市が調印している「都市食料政策ミラノ協定」の内容についてインタビュー調査を行なった。また、11月に東京都練馬区で開催した「世界都市農業サミット」に専門委員として参加し、ニューヨーク市、トロント市、ロンドン市、ジャカルタ市、ソウル市の専門家らと都市の食料政策及び農業政策に関する情報交換を行なった。 (2)Metropolitan Foodshed Mappingについては、次年度以降の解析の準備として、ArcGISで空間情報のデータセットを作成した。 (3)Community Foodshed Mappingについては、都市農地から近隣住民への食料の「流通」の流れを可視化するため、東京都練馬区の体験農園・市民農園・区民農園において利用者に対するアンケート調査を行なった。その結果の一部について、2つの国際会議「10th International Association of Landscape Ecology World Congress」(Milan, July 2019)と「International Workshop on Living with Agricultural Landscapes」(Tokyo, December 2019)で発表し、海外研究者らと意見交換を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、5つの研究の段階の3つをそれぞれ進めることができた。特に、海外都市の食料政策レビューとCommunity Foodshed Mappingについては、海外の専門家や、国内の自治体関係者の協力により、予定よりも少し前倒して調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 海外都市の食料政策レビューについては、北米のトロント市、ニューヨーク市に赴き、インタビュー調査を実施予定であった。しかし、2019年11月に練馬区で開催した国際会議において各都市の専門家・自治体関係者らとのネットワークが形成できたため、メールやビデオ会議を使った調査に切り替えることを検討している。 (2) Metropolitan Foodshed Mappingについては、2019年度に作成したデータセットを元に東京都市圏の解析を実施し、欧州での先行研究の結果と比較する。 (3) Community Foodshed Mapping については、2019年度の調査結果を論文として発表する。また、当初は2019年度の練馬区での調査に引き続き、2020年度は八王子市での調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の影響が長引けば、利用者にアンケートを配布する形式の調査を実施することは難しいと考えられる。一方で、新型コロナウィルス感染症を受け、新たに検討すべき視点として、各国が外国への輸出制限を行うなどグローバルなフードシステムにも多大な影響が出ているなか、Community Foodshed(都市農業による小規模分散型の食糧の消費・資源循環圏)の重要性が増していることが挙げられる。インターネットアンケートなどを利用することで、この視点を取り入れた新たな調査を実施することを、検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
旅費が減額された理由:Erasmus+(EUの教育トレーニング・プログラム)を利用して、イタリアのトリノ工科大学のクラウディア・カッサテッラ准教授から講師としてイタリアに招聘された。そのため、本予算からの支出を予定していたイタリアへの海外調査のための旅費を使用しなかった。
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Research Products
(7 results)