2020 Fiscal Year Research-status Report
Foodshed概念を用いた都市空間の再評価と計画論への展開
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19K15863
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 晶子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (90700930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市計画 / フードシステム / アクセシビリティ / COVID-19 / 都市緑地 / 都市農地 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年のCOVID-19の世界的大流行を受け、当初予定していた研究の一部を修正し、緊急調査を展開した。具体的には、「都市のローカル・フードシステムへのアクセシビリティの違いが都市住民の健康・福利にどのような差をもたらすか?」という問いを立て、緊急事態宣言下の東京都民約4千人を対象としたオンライン・アンケート調査を実施した。そして、食料へのアクセシビリティと、レクリエーション空間としての農地へのアクセシビリティの2つの視点から、食への不安感(現在及び将来の食料入手への不安感)・精神的健康(WHO-5指標)・身体的健康(身体活動量)に及ぼす影響を分析した。その際、農地は緑地の一形態であるため、公園や緑道などのその他の緑地へのアクセシビリティについても質問に組み込んだ。研究成果の要点は以下の2点にまとめられる。 1) 食料アクセス:直売所での購入や市民農園での栽培など、都市農地を起点とするにローカル・フードシステムへのアクセシビリティを有する人は、そうでない人よりも有意に食への不安感が低く、また精神的健康の度合いが高かった。 2) 空間アクセス:レクリエーション空間としての農地を利用し、かつ公園や緑道などのその他の緑地も利用している人は、どちらか一方だけを利用している人よりも有意に精神的・身体的健康の度合いが高かった。都市に農と緑が混在することが、相乗効果を生んでいるためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の世界的大流行により、フィールド調査や出張の制限を受け、当初予定していた計画の通りには研究を進められなくなった。しかし、年度初期に研究の方向性を軌道修正し、緊急事態宣言下における都市のローカル・フードシステムの役割について緊急調査を行うことが重要であると考え、オンライン・アンケート調査を新たに行った。当初の予定とは一部異なっているが、緊急事態の中で柔軟に状況に対応して研究を進めることができたため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 2020年度に実施したオンライン・アンケート調査の結果を学術誌に投稿する。 2) 2020年度の調査を元に、新たに縦断調査(2020年度同じ回答者を対象としたアンケート調査)を実施し、新しい生活様式のもとで生まれた農・緑とかかわるライフスタイルがどの程度定着しているか、またそのようなライフスタイルを支える都市空間の要素・構成を分析する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、当初予定していた国際・国内会議への出張旅費、海外都市調査のための旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。なお、2020年度に参加した国際会議、国内会議はともに、オンラインでの開催となった。
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