2021 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー資源利用を前提とした低炭素で持続可能な都市緑地管理のシナリオ評価
Project/Area Number |
19K15864
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 暢子 愛知工業大学, 工学部, 講師 (20816277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CO2 emission / Life-cycle CO2 / Labor input / Greenspace management |
Outline of Annual Research Achievements |
CO2排出を含む地球規模の変化の多くは都市に起因し、炭素貯蔵のような貴重な生態系サービスを提供する都市緑地の保全創出が求められる。他方、その実現には、人口減少・高齢化の進展、行政投資能力の減退、市街地の空洞化と緑地の減少、多様な主体の参画などの検討課題がある。高齢者が多く作業量の負担が懸念される地域が特定され,持続可能な管理にはボランティアの導入や委託管理,機械化が有用と考えられるが,費用や環境負荷増大が懸念される.排出される伐採枝は貴重なエネルギー資源としての利用が期待されるが,その利用方法を作業量やCO2排出量の観点で評価した例は見られない. 本研究は,名古屋大都市圏を対象とし,都市緑地管理に際する作業量,CO2排出量,エネルギー資源量を推計し,将来管理人口を考慮した伐採枝のエネルギー利用シナリオを評価することを全体目標としている. 当該年度は,昨年度実施したウェブアンケート調査(公園等の公共緑地/住宅/農地/樹林地/森林を対象とした年間の作業時間及び使用機械に伴う燃料消費量,将来の活動に対する希望等)のデータに基づき,(1) 緑地管理に掛かる年間作業時間及びCO2排出量の推定を試みた.また,追加の調査として,(2) 管理の側面だけでなく緑地利用の実態を把握するため,愛知県内の約200箇所の都市公園を対象に,携帯電話の位置情報データを用いた滞在者数及び来訪者居住地の経年変化について調査を実施した.(1)についてはウェブアンケート調査とヒアリング調査との違いが認められたため,過去アンケート調査結果との違いについて検証中である.(2)については新たに追加調査として実施したものであるが,都市圏における公園利用と管理負荷量についての関係性を明らかにする基礎資料として活用する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウェブアンケート調査結果のうち,都市部における住宅及び農地の管理作業量及びCO2排出量の試算を実施した結果,一部,名古屋市内での対面式でのヒアリング結果との違いが認められ,当初予定の「コスト及び環境負荷量の空間分布可視化」に関連した研究発表には至っていない.そのため,今後は,過去(2016年度)に実施した管理作業量に掛かるウェブアンケート調査データとの比較による再検証を通じ,作業量及びCO2排出量の定量化・空間分布可視化を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,これまでに整備した①緑地管理GISベースマップの構築,②ヒアリング・アンケート調査による作業量・CO2排出量の定量化をもとに,③作業量及びCO2排出量の空間分布の可視化,④緑地管理シナリオに基づく作業量・CO2排出量の評価を実施する.
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Causes of Carryover |
当該年度は予定していた学会発表及びヒアリング調査をオンラインに切り替えたため支出が発生しなかったため,予算の繰り越しを行った.今年度は対面での学会発表及び専門家へのヒアリング調査・技術支援を予定しており,旅費及び人件費を使用する計画である.また,調査データ保管のための記憶媒体等を更新する予定である.
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Research Products
(1 results)