2021 Fiscal Year Research-status Report
将来気候における極端現象下での生態系機能最大化に向けた土地管理オプションの提示
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19K15866
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
柳川 亜季 明星大学, 理工学部, 准教授 (90620469)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レジスタンス / レジリエンス / 極端現象 / SPEI / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
レジスタンスやレジリエンスに関して、これまで十分に考慮されてこなかった、発生確率別の極端現象について、レジスタンスおよびレジリエンスを目的変数に環境要素とそれらの交互作用を説明変数として、気候区分と土地利用区分から作成した土地被覆区分ごとにモデル化する。そして、レジスタンスおよびレジリエンスを最大化するため、複数の土地被覆区分において優先的に取り組む土地管理オプションを提示することを目的とした。 研究の結果、複数の土地被覆区分において、信頼性にたるモデルを構築することができた。モデルの構築においては、気象要素、土壌や標高といった地理的要素、生物多様性等の生物的要素のほかに、耕作および牧草地としての土地利用履歴も説明変数に入れた。 これまで、レジスタンスおよびレジリエンスの変動に関しては、気象要素の影響が大きいことが示唆され、生物多様性の重要性は草地のみで示されていた。 本研究では、土地利用も説明変数にすることで、レジスタンスおよびレジリエンスに人間の土地利用が影響することを示し、今後の土地管理のオプションを提示する予定であったが、そもそも草地や耕地の土地利用履歴の影響は少ないことが示された。一方で、生物多様性に関する指標については、20年に一度程度の干ばつにおいて、複数の土地被覆では、レジスタンスに最もレジスタンスに影響を与えることが示された。この土地被覆は、今後気候変動により干ばつが深刻化する地域と重なることもあり、生物多様性に配慮した土地管理の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、具体的にあきらかにしたいことが3つあり、それらを一つずつ、3年間かけて、1年毎に進める予定であった。1年目はレジスタンスおよびレジリエンスの算出をした。2年目はレジスタンスおよびレジリエンスを目的変数にし、気象要素や土地利用に関数変数、生物多様性など複数の要因を説明変数とするモデルを構築した。 本年度は、予定通り、3つのステップのうち、最後のステップである、③生態系機能を最大化する土地管理オプションの提示をすることが複数の土地被覆においてできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究の成果を論文としてまとめ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、購入予定の計算機を購入しなかったため。次年度予定通りの機器購入を行う予定である。
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