2022 Fiscal Year Annual Research Report
将来気候における極端現象下での生態系機能最大化に向けた土地管理オプションの提示
Project/Area Number |
19K15866
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
柳川 亜季 明星大学, 理工学部, 准教授 (90620469)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レジスタンス / レジリエンス / 極端現象 / SPEI / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
レジスタンスに関して、これまで十分に考慮されてこなかった、発生確率別の極端現象について、レジスタンスを目的変数に環境要素や土地利用履歴を説明変数として、気候区分と土地利用区分から作成した土地被覆区分ごとにモデル化した。 レジスタンスは、NDVI3gという植生指数(NDVI)を使って、干ばつや大雨などの極端現象があった年とそうでない年の前後におけるNDVI値の変動から算出した。極端現象の定義は、標準化降水蒸発散指数(SPEI:Standardized Precipitation Evapotranspiration Index)の標準正規分布表の値から確率分布に従って定義した。このSPEIが―0.67よりちいさい時は干ばつ、0.67より大きい時は、大雨とした。-0.67から、0.67までのSPEIの年を平年並みの水バランスの年と定義し、極端現象時と平年並みの水バランスの年とのNDVIを比較した値である、レジスタンスを算出した。 1982-2015年の期間を対象とした解析からは、極端現象時のレジスタンスについて、ほとんどの土地被覆において、極端現象年の気温の影響が大きいことが示された。一部の土地被覆においては、伝統的な土地利用の影響や、生物多様性の高さが影響していることも示唆された。 以上から、干ばつや大雨といった、水バランスの極端現象に対する植生の耐性を示すレジスタンスは、多くの土地被覆で気温の影響を受けており、人間による土地利用の最適化によるレジスタンスの向上が期待できる地点が限られることが示唆された。
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