2019 Fiscal Year Research-status Report
高信頼性・高速性を両立する最適伐採スケジュールの探索手法
Project/Area Number |
19K15872
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
守口 海 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 講師 (70814979)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 森林 / 伐採 / 間伐 / 主伐 / スケジュール / 最適化 / 焼きなまし法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、所与の林分をどのタイミングで、どの程度間伐を行い、さらに、いつ主伐すれば最適であるかという、単一林分の最適伐採スケジュールを、コンピュータを用いて求める手法について取り組んでいる。今までに、金属の冷却過程を模倣することで最適な状態(最適解)を求める、「焼きなまし法」と呼ばれる汎用的な手法を用いて、最適な間伐スケジュールを探索する手法が開発されてきた。ただし、焼きなまし法は汎用的な最適化手法ではあるが、うまく最適な状態を求められるかは、対象となるモデルの「変数」をどのように設定するかに強く影響を受ける。さらに、焼きなまし法は乱数を使った確率的な最適化手法であるため、偶然うまく行く場合やその逆の場合がある。さらに、焼きなましの「冷却」をどのように進めるかで大きく性能が変わる。そのため、非常に多数の焼きなまし過程をシミュレートする必要があり、最適解を得るために非常に長い時間がかかる。 そこで本年は、本来はグラフィック専用計算機であるGPUを用いて、高速化を行った。GPUは多数のプロセスを並列実行することに秀でており、近年はグラフィック以外の様々な分野で用いられるようになってきている。GPUによる手法の実装により、従来よりも著しく高速に最適伐採スケジュールの探索が可能となった。さらにこの中で、従来の方法では特定の条件で探索が上手く行われない場合があることが判明した。そこで、このような条件でも探索が上手く行われる改善手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、まず他の様々な最適化手法を試すとしていたが、本研究の進展を円滑にするためにはまず、従来手法の高速化および信頼性の頑健な確立が重要と考え、従来手法の問題点の解消に取り組んだ。この結果、従来手法は改善を加えた上で、実用可能となる程度の速度(比較的単純化した収穫モデルの場合、5秒程度)で、最適伐期齢の決定も含む、頑健な最適主間伐スケジュールを得られるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、探索過程の設定パラメータが探索性能に強く影響を及ぼさないと言われている、粒子群最適化による最適伐採スケジュールの探索手法について検討している。最適化の変数として間伐率を用いると比較的単純に実装できるが、焼きなまし法による実装では、この方法は最適解の品質に限界があることも分かっている。一方、焼きなまし法の実装の変数の取扱方を工夫すると、より高速かつ頑健な探索性能が達成できる可能性があることが分かってきた。そこで本年は、この焼きなまし法の実装について主に取り組み、並行して、粒子群最適化によるより良い実装を模索する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大の影響を受け、予定していた旅費の利用がなくなったため。繰り越し分は翌年度の英文校正費等で利用する予定。
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Research Products
(2 results)