2020 Fiscal Year Research-status Report
高信頼性・高速性を両立する最適伐採スケジュールの探索手法
Project/Area Number |
19K15872
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
守口 海 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 講師 (70814979)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 施業体系 / 最適化 / 焼きなまし法 / GPGPU |
Outline of Annual Research Achievements |
林業の施業方法やそのスケジュールは、森林が持つ機能を高度に発揮させるうえで重要な要素である。そのため、「最適」な施業体系は森林科学分野における1つの大きな関心事項であるが、それによって提示された施業体系が「最適」である信頼性は、最適解を探索する手法に大きく依存する。 そこで本研究では、最適施業体系の立案を高速に行いつつも信頼性の高い手法の開発を目指している。初年度には、間伐を実行しうる林齢が5年毎に固定された収穫モデルを用いて、従来手法の信頼性を保ちつつ計算時間を大幅に短縮した手法を、GPGPU技術と焼きなまし法(金属の焼鈍過程を模倣した汎用最適化手法)を用いて開発した。この成果は昨年度に、論文として発表した。なお、総当たり法による最適施業体系との比較のために間伐候補林齢を5年毎に固定していたが、実際には間伐候補林齢は可変である。そこで、林齢を変数とすることで、より高速な手法が開発できると考えられた。 そこで昨年度は主に、林齢を変数として最適施業体系を探索する手法について取り組んだ。3つの近傍探索手法を考案して性能比較実験を行ったところ、全ての方法で、林齢を固定する場合と比較して様々な改善が認められたが、計算速度および最適解の信頼性には互いに若干の差が認められた。さらに、植栽密度を同時に最適化するよう拡張した場合についても検討し、若干の計算時間の増加を許容すれば最適な植栽密度の探索も同時に行えることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
焼きなまし法を応用して手法を発展させることで、単純な収穫モデルであれば1秒以内に、最適解を得られる手法が開発できた。一方、他の候補手法であった粒子群最適化に関しては、近傍探索のために間伐率を変数とする必要があるため、安定した手法の確立には至っていない。ただし、実用的な手法の開発が本課題の目標であるため、全体的としてはおおむね順調であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に述べた新手法は現時点で投稿論文原稿を準備中であるため、まずはこれを投稿し、公表する必要がある。また、成果物の実体は現状、コマンドプロンプトから立ち上げられるCUIソフトであり、一般の森林技術者にとって可用性が低い。開発された手法は実用段階にあると言えるため、GUIを作成して可用性を向上する。さらに本手法を用いて、様々な地域や林分条件における最適施業体系を提示しながら、さらなる問題点の明確化を進めるとともに、地域における最適施業体系の提示も進めていく。
|
Causes of Carryover |
年度前半に英文校正費用や論文出版費用が嵩み、年度途中で資金不足に陥ったため、前倒し支払い請求を行った。しかし同時に、学内の資金への応募により資金調達を行ったため、予定よりも使用金額が抑えられた。そのため、今年度・来年度は当初計画に比較的近い形で課題を進められることとなった。
|
Research Products
(3 results)