2020 Fiscal Year Research-status Report
樹皮下キクイムシの産卵選好性と寄主利用能力およびその地理的変異の解明
Project/Area Number |
19K15874
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高木 悦郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (60718675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 樹皮下キクイムシ / トドマツノキクイムシ / モミ属 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,トドマツノキクイムシは,ロシアにおいてシベリアモミ,日本においてモミ,シラビソ,およびオオシラビソで大量枯損を引き起こすなど,被害が顕在化してきている.しかし,トドマツノキクイムシの生態に関する知見は未だ非常に乏しい.例えば,多くのキクイムシで,特定の幹サイズ,地上高,および森林構造などを選好することが明らかになっている.しかし,トドキクイでは,シラビソに対して小径木を選好することがようやく明らかになってきたところである. 日本には,5種のモミ属が分布しているが,シラビソ以外に対するトドキクイの加害様式は不明である.キクイムシによる被害を予測,防除するためには,キクイムシが選好する幹サイズ,地上高,衰弱度合い,および森林構造などを,樹種ごとに明らかにする必要がある.そこで本研究では,トドマツノキクイムシの産卵選好性,寄主利用能力,およびその地理的変異を明らかにすることを目的としている. 今年度は,新型コロナウイルスの感染拡大を受け,予定していた野外調査,野外実験,および室内実験の一部を実施できなかった.しかし,昨年度中に得られた結果を基に,トドマツノキクイムシによる加害の経年変化,トドマツノキクイムシの産卵選好性と繁殖率の寄主間変異,繁殖様式,および樹皮上での産卵場所選好性の一部を明らかにし,それらが『Forest Ecology and Management』,『Journal of Insect Science』,および『POLS ONE』に受理・掲載された.また,第25回樹木医学会大会の特別講演会において講演を行い,講演内容が『樹木医学研究』に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読付き国際誌に3報が受理,掲載され,研究はおおむね順調に進展している. 一方で,予定していた野外調査,野外実験,および室内実験の一部が実施できなかった. また,取得済みのデータを基に,論文執筆を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に実施できなかった野外調査,野外実験,および室内実験を,新型コロナウイルスの感染拡大状況を見ながら判断して実施する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大を受け,予定していた野外調査,野外実験,および室内実験を実施できなかったため.また,予定していた国際会議への参加が困難となったため.
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