2020 Fiscal Year Research-status Report
Community-wide phenological study by transcriptome analysis in Southeast Asian tropical plant
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19K15875
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
徳本 雄史 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 准教授 (60780153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東南アジア熱帯 / 群集レベル / 開花フェノロジー / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジアの熱帯雨林は季節性が乏しく、そこに生育する樹木は気象条件の機微な変動に応答し、群集レベルで同調して開花や展葉を行っている。これらの樹木のフェノロジーは植食者や花粉媒介者など他の生物や地域の生態系に対し、餌資源の増減といった効果を介して大きな影響を及ぼしている。これまでの研究では観察データと気象データの関係性から開花や展葉を引き起こす要因について推定してきたが、各種のフェノロジーや群集内での同期性の分子メカニズムについては明らかになっていない。本申請研究では複数の分類群の熱帯樹種を対象にして、遺伝子発現量と目視による展葉・開花フェノロジーデータや気象データとの関係から、熱帯樹木の種レベルかつ群集レベルのフェノロジー現象を遺伝子レベルから明らかにすることを目的としている。これらの成果は東南アジア熱帯地域の環境応答メカニズムの解明だけでなく、温暖化後の樹木の動態予測などに資することができると考えられる。今年度は昨年度立ち上げた調査地での定期的なモニタリングとサンプリングを継続させた。しかし、2020年3月からCOVID19の影響により断続的にアシスタントが調査地に入ることができなくなったため、モニタリングデータに空白期間が生じた。当調査地に近い別地域で先行して採取したサンプルについてRNA抽出とRNA-seqを実施した。ファイルの品質チェックを実施し、現在は発現遺伝子の定量化や解析を行っており、次年度以降は発現遺伝子のデータと気象や目視データとの関連性について解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度末からのCOVID19の影響によりマレーシアへの移動制限がかかったことで、申請者による現地への渡航は2021年5月現在までできていない。現地での調査はアシスタントに任せているが、アシスタントも昨年の4月以降数度に渡って現地での感染拡大の影響を受け、調査地に入境することができなくなった。そのため、データに複数の空白期間が生じている。代替として別地域で先行して採取していたサンプルのRNA-seqを実施した。しかし分子実験用の試薬類が不足していたため、RNA-seqのデータの取得までに時間がかかり、今年度中に解析結果を発表できるまでまとまらなかった。現在は発現遺伝子の定量化やその後のデータ解析を実施している。 上記のように、当初進めていた調査地での調査とサンプル解析に関しては先行きが非常に不透明であるものの、本申請研究の目的については別サイトのサンプルを用いて達成するように実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
現地への渡航がいつ可能になるか不明であるため、次年度はデータ解析に重点を置いて研究を推進する予定である。 当初進めていた調査地で採取したサンプルは、渡航が可能になった後に輸出手続きを進めていく。サンプルの輸出手続きには非常に時間がかかる(6ヶ月以上)ため、それらのサンプル解析は次年度においても実施はできない見込みである。次年度に渡航が可能となれば、これらのサンプルを将来的な研究発展のため(本申請研究期間外)に持ち帰るよう輸出手続きを行うことを予定している。 今年度は別サイトで取得したサンプルのRNA-seqデータを取得できたので、次年度はこれらのデータ解析に重点を置いて進める予定である。昨年度末に解析結果を取得し、現在は発現遺伝子の定量化、簡単な解析を実施している。次年度はこれらの解析結果を発表するように研究を進める。
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Causes of Carryover |
昨年度末からのCOVID19の影響により調査地に渡航できなくなったため、旅費に充当する金額を概ね解析費用として使用した。また本科研費から支出する予定だった謝金の一部は別の研究費で充当したことも合わせて、それらの差し引き額が本科研費の次年度使用額として生じた。今回生じた次年度使用額は、次年度分の額と合わせて海外への渡航費用(旅費)や分子実験用の試薬類(物品費)に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)