2019 Fiscal Year Research-status Report
スギの環境適応における時計遺伝子の役割の解明: 網羅的遺伝子発現解析を用いて
Project/Area Number |
19K15876
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
能勢 美峰 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (20582753)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / フェノロジー / スギ / 遺伝子発現 / 環境適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
日々刻々と変化する周囲の環境に適応するため、スギの遺伝子発現は日周性および年周性を刻んでいる。その制御において中心的な役割を果たしていると推定されるのが時計遺伝子である。時計遺伝子は、その機能の重要性からヒトをはじめとして様々な生物種で数多く報告されている。植物では、シロイヌナズナをはじめとする被子植物の時計遺伝子については多くの研究報告がある。樹木ではポプラにおける時計遺伝子の機能解析が進んでおり、遺伝子組換実験(発現抑制)から開葉や耐凍性などフェノロジーに関連した形質に影響することが明らかにされている。しかし、針葉樹を含む裸子植物の時計遺伝子は近年ようやく注目され始め、針葉樹のもつ特異性が明らかになってきている。中でもスギは中世代に起源をもつ原始的な種であることから、時計遺伝子の進化の過程を知る上でもスギにおける時計遺伝子の研究は学術的に大変興味深い。 申請者らは、スギの時計遺伝子の組換え体を作製し、伸長成長のフェノロジー(季節性)が非組換え体とは異なることを発見した。本研究では、この組換え体を用いて発現遺伝子を網羅的に解析することで、時計遺伝子が日周性・年周性に与える影響、及び、時計遺伝子が制御する遺伝子群とフェノロジー形質の関係を解明する予定である。本年度は、スギの組換え体から採取したサンプルのRNA抽出に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スギの時計遺伝子の組換え体から採取したサンプルのRNA抽出に着手した。 産休育休のため7月から研究を中断しており、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
スギの時計遺伝子の組換え体から抽出したRNAを用いて、次世代シーケンサーによる網羅的な遺伝子発現解析を行う。これにより、時計遺伝子と関連する遺伝子群を明らかにするとともに、フェノロジーに与える影響を推定する。
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Causes of Carryover |
育児休業のため、研究を中断中である。
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