2019 Fiscal Year Research-status Report
音響手法を用いた北海道噴火湾近海におけるソウハチの移動と分布の解明
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19K15891
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 浩平 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (30826558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソウハチ / 噴火湾 / 計量魚群探知機 / バイオテレメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は4月から6月の各月に,北海道大学所属練習船うしお丸を用いて噴火湾周辺海域の調査を行い,計量魚群探知機によるソウハチの分布を調べた。周波数38,120,200kHzの3周波数を用いて,それぞれの周波数のエコーの強さの違いを調べることでソウハチのエコーを抽出した。また,ソウハチと思われるエコーが見られた場所で釣りによるサンプリングを行い,漁獲したソウハチの体長分布を調べた。4月,5月ではソウハチが噴火湾の湾口部に多く分布していることが判明した。6月は,4月と5月に比べてソウハチのエコーが少なくなり,明確な分布傾向は分からなかった。6月にソウハチのエコーが少なった理由としては,4月,5月に比べてソウハチが海底に分布するようになったこと,噴火湾周辺から別の海域に移動したことが予想された。 ソウハチの長期的な水平移動や日周的な行動を把握するために,標識タグや超音波発信器(ピンガー)をソウハチに装着して観察することを計画している。本年度はその予備試験として,標識タグやピンガーの装着によるソウハチへの影響を調べた。上記の調査中に釣りにより漁獲したソウハチに標識タグとピンガーを装着して水槽で飼育し,行動への影響を調べた。装着後2~3週間ほどで死亡する個体も見られたが,摂餌の様子等からタグ類を装着していない個体と比べて行動に大きな差は見られなかった。 9月15日と16日にに函館市水産・海洋総合研究センターの大型水槽で,ソウハチ2個体にピンガーを装着し,水槽内での各個体の深度をモニタリングした。9月16日には給餌を行い,摂餌の様子からピンガー装着による行動への影響はないことを確認した。現在,本実験のデータ解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では,計量魚群探知機を用いたソウハチの分布調査は6月から行う予定であったが,それ以前の4月と5月にも実施することができ,予定よりも多くのデータを収集することができた。また,標識タグやピンガーの装着の影響を調べる実験も予定通り実施でき,順調に進展している。 しかしながら,3月に予定していた標識タグを装着したソウハチの放流は,新型コロナウイルスの影響により,うしお丸を用いた航海が中止となったため実施ができなかった。 以上のことから一部実施が遅れている項目があるものの,本年度はおおむね計画通り研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,4月から6月にかけて引き続き計量魚群探知機を用いたソウハチ資源分布の調査を行い,環境データを含めて2019年度との比較を行い,ソウハチの分布の特徴を調べる。また,それと同時に標識タグやピンガーを漁獲したソウハチに装着して放流し,長期的な水平移動や日周的な行動の把握を試みる。特に,これまで有用な知見を得られていないソウハチの夜間の分布について,ピンガー装着個体を追跡することで調べることができると考えている。
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Causes of Carryover |
3月に参加を予定していた調査及び日本水産学会が新型コロナウイルスの影響で中止となったため,その旅費を支出しなかったため。 次年度に使用する物品(ピンガーや標識タグ)の購入数を増やして調整する予定である。
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