2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study utilizing ethological and genomic methods to understand the evolution of intelligence in cephalopods by measuring high cognitive abilities of bobtail squids
Project/Area Number |
19K15901
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 親要 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 助教 (00813718)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダンゴイカ / 高次認知能 / コミュニケーション / 空間認知 / 頭足類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発達した脳、眼や色素胞による情報処理機構を有する、頭足類が示す高次認知能の内容とその進化的背景を明らかにすることを目標にしている。そのため、イカ類とタコ類の中間的な生態学的、系統学的な特徴を持つダンゴイカ類をモデルとし、イカ類が得意とするコミュニケーション能とタコ類が得意とする空間認知能の変異および連関に着目し、頭足類の知性進化過程の一端を行動学およびゲノム科学により明らかにすることを目的とした。 本年度は、昨年度までに実施した行動観察実験を終えた個体について、RAD-seq解析を行った。行動実験では、空間認知能を意図した図形パターン(マル・バツ型)、コミュニケーション能を意図した点滅パターン(点滅あり・なし)およびコントロール(マル型・信号なし)のLED光信号について、潜砂行動(砂に潜る行動)との連合学習を調べた。RAD-seq解析では、クオリティフィルタリングの結果得られた35-77万リードを用い、系統解析とStructure解析を実施した。行動実験とRAD-seq解析の結果を比較したところ、予定種および代替種の双方について、連合学習の成立が相対的に強く認められた個体(行動実験内で正解の選択をした度合いが他個体より高い)は、系統樹上で同じクラスター内に属する傾向が認められた。また、Structure解析の結果、代替種では、そのような個体が特定の遺伝構造を有する可能性が示唆された。 本研究全体を通して得られた結果は、頭足類の高次認知能について、空間認知能とコミュニケーション能の軸に基づいた体系的な評価が可能であることを、行動学およびゲノム科学の両面から示すことができたという意義を有する。また、今回得られたゲノム全体に渡る一塩基多型情報は、今後、頭足類の高次認知能に関わる有用マーカー開発の基盤となり、その進化的背景解明を加速させることにつながる重要な知見である。
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Research Products
(2 results)