2021 Fiscal Year Annual Research Report
Assessment model development and management strategy evaluation for fisheries stocks under regime shifts
Project/Area Number |
19K15905
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
西嶋 翔太 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (50805116)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レジームシフト / 水産資源 / 隠れマルコフモデル / 再生産関係 / 密度効果 / 管理基準値 / 最大持続可能生産量 / 管理戦略評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のマイワシやカタクチイワシの資源評価では再生産関係においてレジームシフトが仮定されているが、その手法ではレジームシフトが起こった年を仮定しており、将来的にレジームシフトが生じる可能性は考慮されていない。本研究では、隠れマルコフモデルを日本の水産資源32個系群に適用し、レジームシフトの検出を試みた。その結果、8系群(25%)が再生産関係におけるレジームシフトが生じたことが明らかになった。マイワシやカタクチイワシでは複数回のレジームシフトが生じていたのに対し、マアジやゴマサバ、ホッケといった資源では高レジームから低レジームへの1回のみのレジームシフトが検出された。また、太平洋沿岸では浮魚類でレジームシフトの確率が高かったのに対し、瀬戸内海では底魚類でレジームシフトが生じる確率が高いことが示唆された。 マイワシやマサバといった小型浮魚類は資源水準が上昇すると、成長や成熟が遅れるという密度効果を示す。加入量の変動や密度効果は現在の資源評価や管理に組み込まれているものの、加入後の成長や成熟における密度効果を考慮されていない。そこで、体重と成熟率の変化についてのマルコフプロセスをモデル化する理論的枠組みを構築し、マサバ太平洋系群に適用し、個体群動態と管理基準値に加入後の密度効果が与える影響を評価した。その結果、本系群の再生産関係では密度効果が弱いものの、体重と成熟率の密度効果を含めることで、個体あたりの個体群成長率における密度依存性が顕著に表れることが明らかになった。その結果、最大持続生産量 (MSY) に基づいた漁獲係数の管理基準値 (Fmsy) は加入後の密度効果を含めない場合よりも増加することが明らかになった。管理戦略評価により、加入後の密度効果を含めることで効率的な漁獲が可能になり、アンダーユースのリスクが減少することが示唆された。
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