2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K15913
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
片倉 文彦 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10756597)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GFPクローンギンブナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は魚類の寄生虫病に対する中心的な生体防御機構である2型免疫応答のしくみを解明することを目的とする。最終年度である2021年度は、抗体産生細胞やそれらの機能を制御するヘルパーT細胞の活性化機構を解析するためのツールの構築に尽力した。 昨年度までに抗原特異的なリンパ球の増殖・活性化をin vitroで解析可能な実験系を開発できた。そこで本年度はクローン系統が存在するため白血球移入実験が可能なギンブナ(Carassius auratus langsdorfii)を用いてin vivoで活性化したT・B細胞の動態解析を可能とする蛍光タンパク遺伝子導入魚の作出とその特性解明を行った。1対のトランスポゾン(Tol2)転移酵素認識配列間にEF1aプロモーターとGFPまたはDsRed遺伝子を組み込んだDNAコンストラクトを作製し、Tol2転移酵素をコードするmRNAとともに受精直後のギンブナ胚(1~2細胞期)に微量顕微注入することにより、全身の多くの細胞で蛍光を示すクローン魚を作出した。GFP強陽性を示すF0世代の個体より次(F1)世代を得て、それらについてGFP蛍光を指標に選別し、さらにF2世代を得た。各世代の魚の末梢血白血球におけるGFP発現をフローサイトメトリー解析した結果、F1以降の世代において白血球の全分画がGFP陽性を示した。このことは、単為生殖を行うクローンギンブナにおいてGFP陽性系統が作出されたことを意味している。GFP陽性リンパ球を野生型の同系個体に移入することによりその増殖・遊走・活性化などの体内動態を容易に解析することが可能な世界に類を見ない実験系の構築に成功した。
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Research Products
(7 results)