2019 Fiscal Year Research-status Report
グローカル視点からの持続可能な耕畜連携のあり方に関する研究
Project/Area Number |
19K15924
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
浅井 真康 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (60747575)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 耕畜連携 / グローカル / 取引コスト / テレカップリング / オランダ / 循環農業 / 循環経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
耕畜連携では、地域内の畜産農家と耕種農家が土地や資源、労働力等を介して連携する。家畜排せつ物の効率的な循環利用や地域内の飼料生産に寄与することから、持続可能な農業の一つとして捉えられている。 しかし、グローバル化が加速化する中で、世界規模の物流や情報の流れがもたらす影響を加味せずに持続可能な耕畜連携のあり方を考察することはもはや不可能である。そこで本研究は、グローバルおよびローカル(=グローカル)な要因がいかに相互作用し、耕畜連携の成立および存続に影響を与えてきたのかを明らかにする。そのため、①これまで議論されてこなかったグローバル要因を整理し、②過去に提案したローカル視点からの「取引コスト理論を軸とする分析枠組」と「テレカップリングの考え方」を融合させた新しい分析枠組を構築し、③実際の事例を対象にグローカル要因がいかに相互作用しながら資源循環および取引コストに影響を与えているのかを解明し、④持続可能な耕畜連携に資する政策提言を行う。 初年度である2019年度は主に①の作業を行った。グローバル要因は「政策転換」、「投入財や最終財の価格変動」、「土地利用の変化に伴う農地不足」、「消費者需要の変化」、「情報フローの変化」に分類し、これら5つの要因に関して、文献レビューによる整理を行った。また、2019年11月にはオランダの共同研究者を訪れ、当国における政策転換や消費者需要の変化が耕畜連携にどのような影響を与えてきたのか等について情報収集し、今後の本格的な調査に向けた予備調査とした。このほか、2020年2月には、耕畜連携に関する国際ワークショップに参加し、これまでの研究成果を報告するとともに、耕畜連携に携わる国内専門家と情報交換を行い、国内調査の候補となりうる事例について情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献レビューやオランダでの予備調査、国内調査の候補先に関する情報収集等、当初予定してた事項については概ね達成することができた。しかしながら、新型コロナウィルス等の影響によって3回予定していた海外調査が1回しか実施できず、また年度末に予定していた国内出張もキャンセルとなり、次年度以降に延期することになった。この点で、進捗状況は「やや遅れている」。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新しい分析枠組を構築し、実際の事例を対象にグローカル要因がいかに相互作用しながら資源循環および取引コストに影響を与えているのかを解明していく。 しかしながら、新型コロナウィルスによって、グローバル要因(輸出入の停滞等)およびローカル要因(農村内交流の減少等)のいずれにも大きな変化が生じていることから、本研究でもその影響について今後どのように扱うかを検討する必要がある。 また、少なくとも次年度の前半までは国内外への調査出張が難しいと思われるので、文献レビューに基づくアウトプットの出し方やWbe会議を用いた海外共同研究者とのコミュニケーション等、限られたソース・ツールを用いていかに研究を進めていくのかについても検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
3回ほど予定していた海外出張が新型コロナウィルス等の影響により1回しか実施できなかったことが主な理由である。次年度は新型コロナウィルスの状況が改善し次第、積極的に海外出張を行う。また、論文投稿を行い、オープンアクセス誌の掲載料等に用いる。
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