2022 Fiscal Year Annual Research Report
縮減社会でのローカル・コモンズの持続的運営に向けたコミュニティ・ガバナンスの形成
Project/Area Number |
19K15927
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
衛藤 彬史 兵庫県立人と自然の博物館, 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (50778454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域資源 / ローカル・コモンズ / コミュニティ・ガバナンス / 農村計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異なる複数の地域資源を対象に、資源運営の補完的役割を果たす存在として期待されるコミュニティの形成過程における課題や要点を明らかにすること、その上で、縮減社会において持続的な資源運営を可能にするコミュニティ・ガバナンスのあり方を考察することを目指すものである。 今年度は、兵庫県養父市における棚田や休耕地といった農用地資源に加えて、兵庫県美方郡における但馬牛の放牧を利用した放棄田(棚田)の再生事例、在来大豆(丹波篠山市ほか)等を対象に引き続き調査を実施した。 成果は、季刊「農業と経済」88巻2号(2022年春号)に寄稿のほか、著書の分担執筆、また第71回農業農村工学会大会および第72回地域農林経済学会大会で計2報の関連する研究内容を報告している。そのほか、ホームページや関連専門誌への総説寄稿、所属機関の発行物や展示、ブログ等を通じて成果の一部を公表している。 最終年度のとりまとめとして、これまで調査を進めてきた複数の事例(地)における管理体制に共通する要因について、「動態化」という概念を補助線に明らかにした。分析結果として、ガバナンス構築に向けた課題は、本来果たすべき政府の役割と市場性がともに弱まっており、コミュニティによる統治(ガバニング)のみに地域資源管理が依存している状況にあることを実証的に示した。 その上で、ガバナンスの形成に向けて求められる方向性について、大きく3つに分類し整理した。①政府の介入を強める、②(特にフロー的地域資源の活用に)市場性を持たせる、というこれまでも述べられることのあった方向性のほかに、③(特にストック的地域資源の保全に)生産消費活動を取り込むことの有用性を示した。 本研究を通じて、ガバナンスの観点から地域資源の管理不全問題を捉え、複雑な課題群の発生要因を特定するとともに、形成に向けた課題と、現実解を示すことができた。
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Research Products
(7 results)