2020 Fiscal Year Research-status Report
Collective action for origin based agri-food products
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19K15928
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大住 あづさ 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (30808697)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地理的表示 / 集団的行動 / テロワール / 肉牛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、強く効果的な集団的活動の具体的な内容と、それを生み出す制度的環境や個別集団の特徴などの条件について、フランスと日本における複数のGI取得済み品目の比較から明らかにすることを目的としている。 2020年度は、フランスについてはPDO・PGIに登録された牛肉がどのような要素により品目の定義を行なっているか、またGI登録済の牛肉の各産地の形成や集団行動がどのように異なるか、産地の歴史的経緯、GI取得までと取得後の集団的活動の内容、産地の特徴と戦略、構成員の数や特徴、生産者と組織との関係について文献から整理を行った。これについては2021年度も引き続き継続し、その後取りまとめを行う予定である。 国内の事例に関しては、新型コロナウイルスの影響で移動ができない時期が発生したものの、飛騨牛の産地である岐阜県飛騨地方の調査を複数回実施することができた。飛騨地方は現時点では地理的表示取得には至っていないが、国内では関係者が強い集団行動を取ることできる特徴的な産地の1つである。産地の主要な関係者へのインタビューを実施し、生産や販売に関する基礎的な情報や産地の歴史的な経緯と現在の状況、現在の集団的活動の状態、品目の定義の共有状況について調査を行った。また産地の集団活動のこれまでの経緯の検討を行うための文献も収集することができた。飛騨牛産地への調査やフランスの事例の文献調査により、効果的な集団行動に影響する要素が見出された。今後はこれらの要素に焦点を当て、地理的表示取得済の他の銘柄牛産地について同様の調査を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
助成年度1年目には海外での短期研究滞在を行なったことから、科研費課題について十分な研究時間を確保することができなかった。また1年目の1月ごろからは新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、海外・国内ともに予定していた現地調査の実施に遅れが出ている。国内調査については、一部のみ実施することができたが、海外調査は実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
スケジュールがタイトになっているが、事業を1年延長し調査計画を着実に実行する予定である。計画していた日仏比較のフランスの事例については、新型コロナウイルスをめぐる状況が改善し、短期渡航が可能になることが短期的には見込めないことから、現地調査の計画は取りやめ、限界はあるが文献調査を中心とし、得られる情報のみで分析を進める。またフランスの調査が困難であることから、当初の計画よりも国内の事例に重点を置き、新型コロナウイルスの発生が減少するタイミングでの現地調査や、オンラインのインタビューを併用し実行する。
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Causes of Carryover |
2019年度の海外への研究滞在中科研費課題に取り組むことができなかったこと、2019年度末から2020年度にかけての新型コロナウイルスの感染拡大により、国内外のインタビュー調査を中心とする研究のため、計画通り実施できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。2021年度には遅れている調査のうち国内のものを全て実施する。また1年間延長し、2022年度に追加調査や調査結果の分析と論文化を行う計画である。
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