2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Relationships between Forest Management and Local Self-Governing Organizations in a Private Forestry Area in Mie Prefecture: Focusing on Social Characters of Yamazewa (Forest Managers)
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19K15929
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
林田 朋幸 帝京大学, 経済学部, 助教 (80818196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 山村 / 山林管理 / 地域自治組織 / 山世話 / 林業ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、主に三重県松阪市飯高町波瀬地区で調査を行い、山林管理・地域自治組織に関する情報・資料を収集した。また、波瀬地区での調査と関連して、同じく飯高町内の森地区・川俣地区・宮前地区でも同様の調査を行い、関連する情報・資料を収集した。詳細は以下の通りである。 波瀬地区の調査については、林業経営体や林業従事経験者に対して、山林の境界管理や山世話・林業労働組織の実態について聞き取りを行った。特に、林業労働組織に関する日報を収集・整理し、波瀬地区における林業従事者の複数の年代における労働の裁量や山世話の山林管理における役割について、詳細が明らかになった。また、地域自治組織の役員や行政関係者に対して、地域自治組織の運営状況について聞き取りを行った。特に、地域自治組織に関連する山林の所有・境界管理の実態や、山世話・大規模林家といった林業関係者が地域自治組織において果たす役割の大きさについて、詳細が明らかになった。さらに、今後の調査に必要な関係者の情報を得た。 森地区・川俣地区・宮前地区において、林業経営体・林業従事経験者に対して山林管理や林業労働組織の実態等について聞き取り調査を行った。特に、各地区の山林管理の特徴、波瀬地区における林業ネットワークとの共通点等について詳細が明らかになった。また、各地区の地域自治組織の役員や行政関係者に対して、地域自治組織の運営状況・山林管理への関与等に関する聞き取り調査を行った。特に、各地区の地域自治組織が近年どのような地域課題に主に取り組んでいるかについて、詳細が明らかになった。さらに、今後の調査に必要な関係者の情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、新型コロナウイルスの影響で山林管理・地域自治組織に関する調査について当初の調査計画を一部実施できなかったが、調査や収集資料の整理・分析を概ね順調に行うことができた。 現存している林業従事日報が限られている中で、新たに収集を行うことができ、かつ日報の作成者や関係者への聞き取りを行い、分析を進めることができた。また、山世話について聞き取りが可能な関係者が限られている中で、聞き取り・文書の収集を進めることができた。主な調査地である波瀬地区だけでなく、同じく飯高町の森地区・川俣地区・宮前地区においても、聞き取り・文書の収集を進めることができた。飯高町外在住の山世話関係者や波瀬地区に山林を所有する不在地主への聞き取りは当初の予定よりも少し遅れているが、関係者の情報収集を行い2020年度の調査に向けて準備を進めている。 また、地域自治組織についても、波瀬地区をはじめとした飯高町各地区の運営状況に関する聞き取りや文書の収集を、当初の計画よりも早い時期に行うことができた。また、関係者の情報収集を行い、2020年度の調査に向けて準備を進めている。 さらに研究代表者は、研究課題に関する報告を関連学会で行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、引き続き主に波瀬地区において調査を行う。林業関係者・地域自治組織・行政への聞き取り等により、山林管理・地域自治組織に関する情報・資料を収集する。具体的には、山林管理における山世話の役割を明らかにしたうえで、集落組織や波瀬地区にとどまらない山世話の広域的な林業ネットワークの実態を明らかにする。また、山世話の関係者への聞き取りや収集した資料の分析を基に、山世話を結節点とした林業ネットワークが形成された経緯・範域を明らかにする。 波瀬地区における事例の特徴をより詳細に分析するために、同じく飯高町の森地区・川俣地区・宮前地区における林業関係者・地域自治組織・行政への聞き取りにより、波瀬地区との比較検討を行う。また、飯高町外在住の山世話関係者や波瀬地区に山林を所有する不在地主への聞き取りを行う。 収集した情報・資料を整理・分析し、関連学会での研究成果の発表とそれに基づく論文執筆にとりかかる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響による調査内容の変更等により、予定していた調査関連機器の購入を延期したため、373,351円の未使用額が発生した。購入を延期した調査関連機器は、2020年度に購入する。
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