2019 Fiscal Year Research-status Report
トマト苗群落の熱収支および水収支を利用した簡便な乾燥耐性指標定量手法の開発
Project/Area Number |
19K15942
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤内 直道 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (90791210)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 風洞 / 非破壊測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,トマト育種における乾燥耐性フェノタイピング・スクリーニングの効率化のために,トマト苗の乾燥耐性の生理学的指標を簡便かつ迅速に定量できる形質評価システム・プロトコルを開発することである。膨圧維持能力,浸透圧調節能力,気孔調節能力および気孔密度といった乾燥耐性に関係する複数の形質を,実験チャンバ内での定常・非定常状態におけるトマト苗群落の熱収支および水収支の非破壊測定結果から一度に算出することを試みる。令和元年度には,トマト苗栽培装置の作製,および実験チャンバーの仕様検討・一部作製を行った。 自動給排液可能なトマト苗栽培装置 (タテ×ヨコ:1 m×2 m) を作製して温室内に設置し,トマト (品種:ホーム桃太郎) を播種し育苗を開始した。実験チャンバとして,愛媛大学植物工場研究センター内に設置されている風洞実験装置 (有効内寸タテ×ヨコ×高さ:1.8 m×1.8 m×2.0 m) を利用することとした。風洞装置内にステンレス製の櫓を設置し,この櫓に光源,苗トレイ重量計,長短波放射計,風速計,およびCO2・H2Oアナライザを取り付け,そこに設置した苗群落の熱収支および水収支を整流条件下で非破壊測定することとした。光源として,ピーク波長が380 nmから730 nmまでの複数種のLEDを備えたLED光源 (出力:約2000W) を7基購入した。発泡スチロール製パネルを用いた湛液水耕法によってトマト苗を栽培し,培養液を満たしたプラスチック製トレイに発泡スチロール製パネルごと移植し,重量計にトレイを載せてトレイ重量を連続測定できるようにした。風速計およびCO2・H2Oアナライザをすぐ取り付けられるように準備した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度9月の所属変更に伴い,実験装置の構成を再検討する必要が生じたため,実験チャンバ作製に遅れが生じた。購入物品を変更することとなったが,当初予算と同額の支出で研究遂行できる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度にステンレス製櫓および長短波放射計を購入でき次第,実験にとりかかる。風速,温湿度,CO2濃度,明暗条件,および培養液濃度が異なる条件下で非破壊測定を行った後に,根量や気孔密度を破壊測定する。
|
Causes of Carryover |
所属変更に伴う実験チャンバ構成再検討の結果,低温恒温恒湿器およびCO2/H2Oアナライザの購入を取りやめ,ステンレス製櫓および長短波放射計を購入することとした。令和2年度の支出内訳は,長短波放射計購入に約70万円,ステンレス製櫓に約30万円,環境計測器等に約40万円,園芸資材に約30万円,実験試薬・器具に約20万円である。
|