2022 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯の火山灰土壌における簡易リン肥沃度評価方法の構築とジャガイモ生産性の向上
Project/Area Number |
19K15948
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
木下 林太郎 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 助教 (70793678)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 土壌 / リン酸 / バレイショ |
Outline of Annual Research Achievements |
ケニア共和国の中央高地では主食のメイズだけでなくバレイショなどの野菜栽培が盛んであるが収量は低い。同国内でバレイショの生産量が多いキアンブ県のバレイショ生産者圃場(n = 26)において土壌試料を採取し理化学性分析を行なった。圃場ごとに土壌のリン酸含量に大きなばらつきが存在していることが明らかとなった。同地域ではリンを多く含む家畜ふん尿の施用が積極的に行なわれてきた。土壌の有効態リン酸は約8割以上の地点で日本の基準に基づいても適正から過剰であった。現地では現場で実施可能な土壌診断が存在しなかったため、土壌のリン固定力の指標であるリン酸吸収係数の簡易測定法の確立を目指した。本研究者は、土壌の風乾土含水率を評価することによるリン酸吸収係数の推定法を開発した(木下・谷 2020)。ケニア共和国で採取された土壌試料に関しも、風乾土含水率を用いることで、リン酸吸収係数の推定が一定程度可能であることが明らかとなった(R2=0.65;RMSE=78.9)。また、ドローン搭載の近赤外域の反射率を用いたリン酸吸収係数の推定を実験室内で行ったところ、高い精度で推定が可能であることが明らかとなった(R2=0.75;RMSE=66.3)。研究対象地域内にはいくつかの異なる土壌タイプが存在すると考えられており、土壌タイプごとにリン酸吸収係数と風乾土含水率および近赤外域の反射率との間の関係性が異なると考えられた。土壌タイプの分類を行うために、X線回折法による粘土鉱物組成の評価を実施した。当該地域内の3地点で行われた土壌断面には地点により異なる粘土鉱物が含まれていた。
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